【レセプト講座vol.4】レセプト提出後の審査の流れとは?

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こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。

実務に役立つ、こあざらしのレセプト講座です。

さて、今回は、医療事務をしている人なら必ず知っておいてもらいたい内容ですので、ぜひ一読ください。

こあざらし

意外と知らない人もいるので、読み飛ばさず読んでもらいたいです。

目次

支払基金と国保連合会 

医療費は、患者が一部の費用を負担し、残りの部分を患者が加入している健康保険の保険者が負担する形となっています。

1ヶ月分の医療費をまとめた診療報酬明細書(レセプト)を翌月に作成して医療機関から保険者への診療報酬請求を行うことで支払いを受ける流れになりますが、実際には、保険者へ直接請求を行うのではなく、両者の間に第三者機関として設けられた審査支払機関を介して間接的に請求する形が採用されています。

保険医療機関は保険請求後に保険者側から支払われる診療報酬によって医療経営しており、この支払いが遅れると運営に支障をきたしてしまいます。

全国に数多く存在する保険医療機関・保険薬局が保険者ごとへ各々請求するのでは事務負担が大きくなってしまい、その結果、支払いの遅延につながるおそれがありました。

第三者機関創設以前では、審査は医師会に委託し、支払いのみ保険者が行うという分担制で請求が行われていた時期があり、診療報酬の支払い遅延が深刻な課題となっていたこともあります。

その問題を解決するために、レセプトの受理手続きから審査・支払いまでの請求業務を一括して委託出来る審査支払機関が設置されました。

社会保険加入患者の場合は社会保険診療報酬支払基金(支払基金)、国保健康保険加入患者の場合は国保健康保険団体連合会(国保連合会)にて審査と支払が代行されます。

保険証ごとの提出先一覧

支払基金・・・社会保険、社会保険と公費の併用、公費同士の併用、公費単独

国保連・・・国民健康保険、後期高齢、国民健康保険と公費の併用

一次審査と二次審査

支払基金・国保連合会での審査を終えるとレセプトは各保険者に送付されますが、支払い前に保険者でも再度レセプト内容の審査を行います。

審査支払機関での審査を一次審査と呼ぶのに対して、保険者審査は二次審査と呼ばれていることがあるのですが、厳密にいうとそれは少し異なります。

保険者は審査と支払いの全てを審査支払機関に委託しているため、処理の実行権や決定権は持っていないのです。

医療機関従事者によく勘違いされてる人が多いのですが、保険請求の可否は審査支払機関で最終判断されるものであり、保険者側に審査決定権があるものではありません。

保険者は再審査を促すまでしか行っていないのです。

「なぜ、保険で通らないのですか」

と保険者側に問い合わせが度々あるところを見ると、保険者が保険請求を認めてくれないから減点されたという解釈をされてる人が一定数いらっしゃるように思います。

かく言う私も保険者審査に従事する以前は、審査支払機関とは別に保険者も最終決定権を持っていると思っていたくらいです。

医療機関ではレセプトを提出した後の流れを直接知る機会がないので、詳しい審査の流れに馴染みがなくても仕方がありません。

ぜひ、この機会に知っておいてください。

こあざらし

最終的な保険請求可否を決めるのは、一次審査も二次審査も支払基金と国保連合会です。

審査支払機関審査と保険者審査の違い

一次審査機関である審査支払機関では、審査事務が事務補助をしながら、医師・歯科医師・薬剤師など医学に精通する審査委員がレセプトに目を通して医学的見地と合わせて保険診療のルールに従った算定となっているかの審査を行なっていますが、二次的な審査機関である保険者では医療事務員あるいは委託業者が内容点検をしているという違いがあります。

審査支払機関にて専門家の審査を終えているため、保険者審査は二度手間ではないかと思われる方が中にはいるかもしれません。

ですが、実は審査支払機関で取り扱える情報には制限があり、そのため保険者審査が不要だとは言い切れないのです。

例えば、審査支払機関における審査では自県に所在する医療機関レセプトしか取扱えません。

それに対して保険者では、医療機関所在の自県・他県を問わず患者が健康保険を利用した全てのレセプトが集まるため、自県・他県受診内容を突き合せた点検も可能です。

また、数年前のレセプト確認も可能であるため、縦覧点検では保険者審査のほうが審査支払機関審査よりもかなり長い期間のレセプトを縦覧して突き合せる点検が可能です。

このように、審査支払機関とは多少異なった条件で審査できる内容もあるため、保険者審査の二次的な点検の必要性はなくなりません。

審査支払機関では出来ない点検を行いつつ、一次審査の漏れがないかを同時に点検しており、もし疑義事例があった場合は保険者から再審査請求手続を行い、再度レセプト審査を審査支払機関へ依頼するという流れになっています。

そして、審査支払機関での再審査による判断がそのまま新たな審査結果となり、請求に反映されます。

一次審査の結果のまま問題ないという場合もありますし、二次審査で結果が変わり保険請求が認められないとなる場合もあります。

こあざらし

二次審査(再審査)を促すために二次点検を行っているのが保険者審査なのです。

特別審査委員会 

極めて高額なレセプトの審査を行う場合、通常の審査委員会ではなく、より専門的な知識を有する審査委員を集めた特別審査委員会に審査が委託されます。

支払基金は社会保険診療報酬支払基金本部、国保連合会では国民健康保険中央会に特別審査委員会を設置しており、全国から集められた特別審査対象の高額レセプトが審査されています。

特別審査委員会(特別審査対象に定められている高額レセプトを点検する審査会)

社保

社会保険診療報酬支払基金支部(各都道府県)→社会保険診療報酬支払基金本部(東京)

国保

国民健康保険団体連合会(各都道府県)→国民健康保険中央会(東京)

特別審査委員会の審査対象となっているもの

  • 請求されたレセプト1件あたりの点数が医科 38 万点以上(心・脈管に係る手術を含む診療分については特定保険医療材料に係る点数を除いた合計点数)のレセプト
  • 同種死体肺移植手術、生体部分肺移植術、同種心移植術、同種心肺移植術、生体部分肝移植術及び同種死体肝移植術に係る手術を含む診療に係るレセプト
  • 請求されたレセプト1件あたりの点数が歯科 20 万点以上のレセプト
  • レセプト全件数のうち漢方製剤の処方及び調剤を含むレセプトの件数が過半数を占める医療機関における投薬料 4000 点以上のレセプト

(参考:社会保険診療報酬支払基金法第十六条第一項、国民健康保険法第四十五条第六項及び高齢者の医療確保に関する法律第七十条第五項の規定に基づき厚生労働大臣の定める診療報酬請求書)

こあざらし

特別審査対象は変動があるものなので、常に最新の規定を把握できるように意識しておきましょう。

他県保険者のレセプト審査 

健康保険の保険者が他県所在である患者のレセプトは、他県で一次審査されてるのか、それとも自県で一次審査されてるのか一瞬悩んでしまうかもしれません。

そこで覚えておいてほしいのですが、一次審査は基本的に医療機関が所在する都道府県の審査支払機関が行っています。(最近、支部間差異をなくすための整備が始まり、提出先が代表支部に変更となっております)

特別審査委員会に行くものだけが例外的に審査場所が異なるというふうに認識しておきましょう。

請求後のレセプトに関して何らかの問い合わせが必要となった場合、あるいは取り下げが必要になった場合も、基本的には審査支払機関を通して手続きを行うこととなるため、まずは、医療機関所在の都道府県審査支払機関に指示を仰ぐのが一番早いです。

さいごに

レセプト提出後のイメージが伝わりましたでしょうか?

医療事務初心者の方にはぜひ押さえておいてもらいたいポイントの一つです。

ちなみに、厚生労働省が決めた保険ルールに従い審査は行われる形ですので、

厚生労働省>支払基金>保険者 という権力図になっております。

ここから読み取ってください(笑)

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この記事を書いた人

医療事務(診療所・病院)、レセプト審査(保険者)、医科歯科事務経験、介護事務経験あり。ブログは、査定事例の解釈・レセプト実務に必要な知識を重点的に更新♪

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