低薬価薬剤のレセプト請求、傷病名記載が必要な投薬の基準は?

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こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。

今日は薬剤の請求についてお話しようと思います。レセプト請求における原点に返る話ですが、知っておくとレセプト業務の際に役立つと思います。

私はもともと歯科点数表を点検していた人間だったのですが、医科点数表側に転身した際にはその違いに驚いたものです。

その1つが、この投薬に関する取扱いでした。

※医科と歯科では投薬に対する審査の取扱いが異なります。

目次

審査における低薬価の取扱い

まず確認していただきたい通知があります。

「低薬価薬剤の審査等の具体的取扱い方針」について-厚生労働省HP

低薬価審査の通知

具体的取扱い方針

(1) 「健胃消化剤、鎮咳剤など」の範囲について 参考1文中には「175円以下の薬剤の投与又は使用の原因となった傷病のうち、健胃消化剤、鎮咳剤などの投与又は使用の原因となった傷病など、記載した傷病名から判断して、 その発症が類推できる傷病については、傷病名を記載する必要はないものとすること。」とあるが、この例示から判断すると、更に別紙1にあるような薬剤が該当すると考えられる。これらは、いわゆる佐薬や一過性の症状に対する薬剤などである。しかしながら、「類推できる傷病名」の範囲は広範であり、更には臨床現場の医師による判断に幅が生ずることも想定され ることから、個々の薬剤について限定的に列挙することは実務的ではないと考える。

(2) 「強心剤、糖尿病薬など」の範囲について 同参考1文中には「ただし、強心剤、糖尿病薬などの投与又は使用の原因となった傷病名についてはこの限りでないこと。」とある。この薬剤の対象疾患は心臓疾患及び糖尿病であり、 いずれも本来、主傷病名若しくは副傷病名としてレセプト記載されるべきものである。適正な審査の観点から、これに追加するとすれば、別紙2にあるような効能効果が多様で、しかも長期に使用する可能性の高い薬剤については、レセプトに傷病名の記載が必要であると考える。

(3) 主傷病名、副傷病名の区分のないレセプトについて主傷病名及び副傷病名については、医療機関への周知徹底が十分になされていないことなどから、これらの区分がないことをもってただちに返戻することは、当分の間、差し控えるも のとする。

(4) 調剤レセプトについて 調剤レセプトについては2000点以上のものについて傷病名との関連を審査することとされており、本レセプトについても上記と同様に取り扱う。

なお、本方針については、 4 月診療分の審査を目前に控え検討期間が短かったこと、医療機関における主傷病名等の記載がどのようなものになるか現時点では明確ではないことなどから、 今後、各保険者、各医療機関及び各審査機関の意見を広範に収集し、本検討会において引き続き検討するものとする。

別紙1

1.消化器官用剤

2.下剤、浣腸剤

3.眠剤

4.解熱鎮痛消炎剤

5.去たん剤及び鎮咳去たん剤

6.感冒薬 など

別紙2

1.血管拡張剤

2.血圧降下剤

3.副腎ホルモン剤

4.高脂血症用剤

「低薬価薬剤の審査等の具体的取扱い方針」について-厚生労働省HPより一部抜粋

だいぶ古い通知ですが、今もなお、この形で審査が行われています。興味があれば、PDFの文書をぜひ一読してみてください。

この文書を読むことにより、病名が必要な薬剤というのはどういったものかというのがおおよそ理解出来るものと思われます。

通知を踏まえた解釈

簡単にまとめると、17点以下の薬剤使用については、病名がレセプトより類推できるものであれば記載が不要という取扱いです。

例えば、鎮痛剤と一緒に出される胃薬など佐薬として処方される薬について、わざわざ胃炎病名の記載をする必要はありません。風邪の時に一緒に処方される去痰剤などもわざわざ病名を別に記載する必要はありません。

もちろん、17点以下の薬剤での話です。

「健胃消化剤・鎮咳剤など」の範囲について

  • 消化器官用剤
  • 下剤・浣腸剤
  • 眠剤
  • 解熱鎮痛消炎剤
  • 去たん剤及び鎮咳去たん剤
  • 感冒薬 など

これらの薬は類推できる病名が他にあれば、17点以下の薬剤に対して病名がなくても認めてもらえるようです。ただし、審査はあくまでも医学的判断になりますので、審査員の裁量によっては判断が個々の症例によって異なるのが現状です。

「強心剤・糖尿病薬など」の範囲について

  • 血管拡張剤
  • 血圧降下剤
  • 副腎ホルモン剤
  • 高脂血症用剤

例え低薬価であっても傷病名の記載が必要とされる薬剤です。

医科ではこのような取扱いとされていますが、歯科については低薬価かどうかに関わらず、ほぼ病名が必要です。鎮痛剤については処置や手術があれば特に病名記載は必要ありませんが、それ以外は病名や摘要記載が重要となって来ますので頑張って病名漏れがないか確認しましょう。

17点以下の見方

レセプトで表記されるまとまりでの点数です。1薬剤での場合もあれば、まるめのように何種類かが1つになってる場合もありますよね(?)

その1つの塊の点数を見ていただいたらいいかと。外用薬だと1調剤の点数で数えますね。内服に関しては、処方の日数分の総点数を数えるわけではなく、あくまでも1つの塊で1日分の点数を見てもらったらいいですよ。

こあざらし
レセプトに表示された薬剤点数を見て、17点を超えてるかどうか。

査定傾向

17点以下でも病名が必要とされている薬剤については、もちろん病名がなければ査定となっています。

もう一つあるパターンでは、病名記載の必要がないとされる17点以下の低薬価薬剤に対してでの査定例です。17点以下であればオール病名なしで請求オーケーという考えではないことを認識する必要があります。その薬剤が必要と類推できる病名や状態の患者でなければ、査定対象となりうるのです。

極端な例ですが、整形外科の診療行為や病名しか見当たらないのに、眼科の薬剤が処方されてる(17点以下)という場合は査定対象となりますね。

病名がつくものではない場合なら、摘要記載を入れるべき症例です。

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この記事を書いた人

医療事務(診療所・病院)、レセプト審査(保険者)、医科歯科事務経験、介護事務経験あり。ブログは、査定事例の解釈・レセプト実務に必要な知識を重点的に更新♪

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