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新薬には1処方の投薬量に制限がある?薬剤の算定ルール、レセプト請求時には気をつけよう
こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。
今日は投薬の算定の基礎となる部分のお話。
病名や摘要記載ももちろん医療事務員がレセプト作成時に注意すべき点ですが、薬に関しては気をつけるべき算定ルールがあります。
この部分って医療事務資格の学習とかではあまりフォーカスされてなかったので、私も実務でなんとなく知りました。
新薬には14日分までの算定日数制限あり
療養担当規則に定められている事項で、新薬の算定日数制限というものがあります。
投薬期間に上限が設けられている医薬品
新医薬品(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第14条の4第1項第1号に規定する新医薬品をいう。)であって、使用薬剤の薬価(薬価基準)への収載の日の属する月の翌月の初日から起算して一年(厚生労働大臣が指定するものにあっては、厚生労働大臣が指定する期間)を経過していないもの(次に掲げるものを除く。)療養担当規則第10(厚生労働大臣が定める注射薬等)
薬価収載から1年以内の新薬に関して、投薬日数の制限がかかります。ほとんどの新薬が1処方で最大14日分の算定までとなっていますので、処方量には気をつけましょう。
1処方での最大投薬量が14日分と制限されているものですので、同月内に再度受診があった際(妥当な期間を空けた受診)、用法に沿った使用法での処方であれば再度14日分の算定をすることは可能です。
実地医療の場で初めて使用される段階の新医薬品については、処方医による一定の診察頻度を確保し、患者の観察を十分に行う必要があるとの観点から、14日分を処方限度とするという現行制度を維持するものの、処方日数制限が合理的でないと考えられる場合を以下のとおり整理してはどうか。
- 同様の効能・効果、用法・用量の既収載品の組合せと考えられる新医療用配合剤など、有効成分にかかる効能・効果、用法・用量について、実質的に、既収載品によって1年以上の臨床使用経験があると認められる場合
- 疾患の特性や、含有量が14日分を超える製剤のみが存在しているといった製剤上の特性から、1回の投薬期間が14日を超えることに合理性があり、かつ、投与初期から14日を超える投薬における安全性が確認されている新医薬品である場合
かなり古い資料を引っ張り出してきましたが(笑)こういう考えの下での14日間制限なので。
現在、処方日数制限撤廃の議論がなされているようですが、今のところの審査は新薬14日までルールってのが生きてます。療養担当規則にも記載されていますので。
退院時投薬
外来レセプトでは気を張っていても、うっかり入院レセプトでは見逃してしまうこともあるようです。
入院レセプトは本当に見るところが多くて、新薬の存在などついつい忘れてしまいがちです。
しかしながら、そんな時に限って、めっちゃ高い薬じゃないか(冷や汗)ってことも少なくないので…。
ぜひともレセプト点検時に気づけるよう心がけましょう。
そんなの全部イチイチ調べる暇ないわって場合は、せめて14日分以上の退院時投薬になっている高額薬剤だけでも調べてみてください。
在宅自己注射薬剤
1キットという単位になっていると見過ごしてしまいそうですが、査定を受けやすいのがまさにここです。
用法や患者の年齢・体重・性別によって使用量が変化するため、非常に注意すべき点。
14日分を超える用量で処方されていないでしょうか?
コメントで無意識に14日分を超える日数で記載していないでしょうか?
入院中のレセプトでの算定は?
入院の出来高レセプトだと、まるまるひと月入院している人なんかは○○点×30日分とか平気でありますが、これは算定可能なのかという部分のお話をします。
もしも用法にのっとった使用法であるならば、保険請求可能です。
あくまでも1処方でまとめて薬剤を持ち帰り、患者が自分で管理しなければならない日数の上限なので。(外来か退院時投薬の場合が該当するのはそのため)
入院であれば、常に医師によって管理されている状態であり安全性が確保されています。
もちろん添付文書用法にて長期連続使用は安全性が確保されていないなどの旨がある場合には、14日分を超えた使用については保険請求が難しいかもしれません。
新薬の場合は、添付文書をよく読み、長期処方が可能な薬剤かを確認したうえでレセプト請求を行いましょう。
もしも高額な新薬で添付文書を読み、請求が難しそうな場合は請求を控えるか症状詳記に必要性を訴える文章をつけて請求するかなどのレセプト対策をしましょう。
新薬だけに限らず日数制限あり
麻薬や向精神薬など算定日数上限が設けられている薬剤が多くありますので、算定の際には上限有無の確認をしましょう。
新薬と同様に療養担当規則に規定されています。
名称をここで並列したところで暗記できないと思うので書きませんが、これは一つずつ自分で調べるしかないです。
ちなみに、この上限日数とは患者に持って帰ってもらう1処方での最大日数のことです。その患者に対して累積して30日しか算定できないという意味ではありませんので、来院があるたびに最大日数まで一応請求可能となっています。
とはいうものの、あまりにも来院間隔短く長期投薬を何回もしている場合は適当とは考えられませんので、査定対象となる可能性ありです。常識的な範囲内での来院間隔と投薬日数であるかをレセプト請求時には確認しましょう。
90日を超える処方はできないのか?
- 投薬量は、予見することができる必要期間に従つたものでなければならないこととし、厚生労働大臣が定める内服薬及び外用薬については当該厚生労働大臣が定める内服薬及び外用薬ごとに1回14日分、30日分又は90日分を限度とする。
- 注射薬は、患者に療養上必要な事項について適切な注意及び指導を行い、厚生労働大臣の定める注射薬に限り投与することができることとし、その投与量は、症状の経過に応じたものでなければならず、厚生労働大臣が定めるものについては当該厚生労働大臣が定めるものごとに1回14日分、30日分又は90日分を限度とする。
療養担当規則
療養担当規則にこう書かれているので、勘違いすることもありますが、投薬日数制限があるものに関しては14日分、30日分、90日分が上限になってますよという意味です。
上限規定されていない薬であり、かつ、医学的に妥当性のある90日以上の処方は保険請求可能となっています。
査定が起こりうる場合といえば、添付文書に書かれている用法や使用注意事項の部分が重視されており、そこに長期投薬がそぐわない理由があるためと考えられますね。
さいごに
新薬の処方は基本的に患者に持ち帰ってもらう1処方の最大日数が14日分というルールです。
新薬全てに適用されるルールというわけではなく、一部除外薬剤や上限日数が異なるものもあります。療養担当規則にも書かれていますが、薬価本などは見やすく記載されていますので参考にされたらいいと思います。
社会保険研究所が出版している本の場合、確か発刊時点での新薬についてはそれぞれの薬価項目の下方に薬価収載日を記載してくれています。
あと、表紙から何枚かはぐった最初のほうのページに新薬や算定日数制限がある薬剤について表にまとめてくれてるのでとても便利。