診療情報提供料(Ⅲ)の算定方法解釈|令和2年診療報酬改定を読解

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こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。

今回の令和2年改定で新設となった点数です。

こあざらし
こあざらしなりに噛み砕いてみました。
目次

診療情報提供料(Ⅲ)「別の医療機関からの求めで診療情報文書を作成して提供した場合」

今回、新設となった点数ですが、この点数はかかりつけ医機能を有する医療機関産科医療機関と診療情報の連携をとるものです。

今までの診療情報提供の形が、患者に文書を持って医療機関に行ってもらうという患者受診ありきの提供方法のみ算定可能だったのに対して、この点数は、別の医療機関から「貴院の診療情報くださいな」という要請があって、文書を作成し提供さえすれば算定できると解釈出来ます。

こあざらし
なので、これは、必ずしも患者の診療が伴わない場合でも、継続受診しているかかりつけ医の診療歴を元に文書作成し提供すれば算定できるものと解されます。

患者が即日入院になり、自分で診察をしに行き、わざわざ文書を取りに行ける状態ではない時に、入院医療機関が必要性があると判断し、直接かかりつけ医から情報をもらえるという、そんな事例が考えられます。

今までこの点数の算定をすることは出来ない解釈でした。

それが算定できるようになったというわけです。

しかしながら、これは、入院期間長いし、3月に1回取れるなら取っておこうというような感覚で算定するものではなく、「別の医療機関からの求めに応じて」なので、かかりつけ医から経時的な報告をくださいとでも予め言われてなければ、勝手に算定することは出来ない点数と解されます。

こあざらし
勝手に経過報告を一方的に送りつけて算定していいというものではないと思いますので、その点、注意した方がいいと思います。

返書の算定が認められたというものではないと思うので、意味が微妙に違います。

こあざらしが解釈する診療情報提供料(Ⅲ)とは、「別の医療機関からの要請で診療情報文書を作成して提供した場合」が該当と解します。

算定のポイント

  • 自院か提供先のどちらかがかかりつけ医
  • 自院か提供先のどちらかが産科医療機関であり妊婦の診療情報提供

2つのパターンのうち片方に該当した上で、下の2つを満たす場合

  • 別の医療機関からの要請があって、診療情報の作成し文書提供した場合
  • かかりつけ医の場合、かかりつけ医にて継続受診があること(初診のみで継続受診ない患者不可)

こあざらし
受診する医療機関は必ず決まっていなければなりません。受診する病院未定は対象外です。

対象患者

対象患者【注より】

  • 地域包括診療加算等の届出有りの医療機関から紹介された患者
  • 地域包括診療加算等の届出有りの医療機関に紹介された患者
  • 産科医療機関から紹介された妊婦
  • 産科医療機関に紹介された妊婦

※地域包括診療加算等とは…地域包括診療加算、地域包括診療料、小児かかりつけ診療料、在宅時医学総合管理料(在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院に限る。)若しくは施設入居時等医学総合管理料(在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院に限る。)を指す。

かかりつけ医機能を有する医療機関とみなされるのが、※で記した地域包括診療加算等を算定している医療機関です。

これを読み解くと、算定できるパターンと算定できないパターンが見えてきますね。

算定できるとされるパターン例

別の医療機関から診療情報提供のお願いがあったとき

  • 当院(かかりつけ医機能なし)⇄連携先(かかりつけ医機能あり)
  • 当院(かかりつけ医機能あり)⇄連携先(かかりつけ医機能あり)
  • 当院(産科医療機関)⇄連携先(産科以外)
  • 当院(産科医療機関)⇄連携先(産科医療機関)

算定できないとされるパターン例

  • 当院(かかりつけ医機能なし&産科以外)⇄連携先(かかりつけ医機能なし&産科以外)

つまり、「自院がかかりつけ医か連携先がかかりつけ医」、「自院が産科医療機関か連携先が産科医療機関(妊婦を紹介)」であれば算定が出来る点数だと解釈出来ます。

かかりつけ医機能を有する病院では特に相手先に気にすることなく算定できますが、かかりつけ医機能を有しない医療機関が算定をしようとする場合では、算定できる医療機関かを調べてから算定を行わなければなりません。


(3) 必要に応じて、紹介元の医療機関が「注1」に規定する別に厚生労働大臣が定める基準を満たす医療機関であるかを確認すること。

自院がかかりつけ医機能を有していない場合は、相手を確認した上で算定するように…と通知にも示されているため、該当しない医療機関への提供と判明した場合は査定対象となることが考えられます。

こあざらし
かかりつけ医機能医療機関ではない場合は算定要注意です。大病院での算定は注意!

産科医療機関の妊婦の診療情報提供に関しては、提供先の診療科は問わないとの事務連絡が出ていますので、産科でも内科でも相手先の診療科は気にしなくていいみたいです。

  • 産科医療機関への提供か産科医療機関からの提供
  • 妊婦

この2つの両方を満たせば算定できるものと考えられますので、自院が産科医療機関であれば特に相手先を気にすることなく算定できますが、自院が産科医療機関でない場合は上の2つの要件を満たす提供かを確認した上で算定しましょう。

算定回数

かかりつけ医との連携での診療情報提供料は3月に1回限りです。

保険医療機関ごとに算定が可能となっているため、提供先が異なれば3月に1回とならない場合もあります。


(1) 診療情報提供料(III)は、かかりつけ医機能を有する医療機関等と他の保険医療機関が連携することで、質の高い診療が効率的に行われることを評価するものであり、かかりつけ医機能を有する医療機関等からの求めに応じ、患者の同意を得て、当該患者に関する診療状況を示す文書を提供した場合に、患者1人につき提供する保険医療機関ごとに3月に1回に限り算定する。

かかりつけ医

産婦人科医療機関との連携での診療情報提供料は月1回に限り算定可能です。

(6) 「注3」については、診療に基づき、頻回の情報提供の必要性を認め、当該患者を紹介した他の保険医療機関に情報提供を行った場合に、月1回に限り算定する。

産婦人科医療機関

提供文書の記載内容

診療情報として提供する文書の内容が指定されています。

このことより、単に受診した旨を記載した文書を返信した場合も算定には該当しません。(R2.3.31事務連絡)

これらの記載事項漏れのないように交付を行ってください。

(2) 診療状況を示す文書については、次の事項を記載し、患者又は提供する保険医療機関に交付すること。また、交付した文書の写しを診療録に添付すること。
ア 患者の氏名、生年月日、連絡先
イ 診療情報の提供先保険医療機関
ウ 診療の方針、患者への指導内容、検査結果、投薬内容その他の診療状況の内容
エ 診療情報を提供する保険医療機関名及び担当医師名

診療状況を示す文書の内容

初診時の算定

初診時の算定が除外となっていますが、これはかかりつけ医に継続受診していることを評価した点数であるためです。

1回きりしか見てないし、これからも別に継続の予定はない患者ですっていうような人は、いくら施設基準がかかりつけ医を満たしているものでも算定の対象外の患者となってしまいます。

次回予約をとっていれば初診で終わるのではなく、再診で継続的にかかりつけ医を受診するということが確約されてるものなので、そういった意味で、次回予約がある人の場合は、初診時の算定でもかかりつけ医として認めるという解釈なのだと思います。

もし、予約日に受診がなかった場合や別日に変更となった場合でも、請求はそのまま出来るとの事務連絡が出ました。(R2.3.31)

(4) 「注1」及び「注2」に規定する「次回受診する日の予約を行った場合」については、次回受診する日を診療録に記載すること。なお、予約診療を実施していない医療機関については、次回受診する日を決めた上で、次回受診する日を診療録に記載していればよい。

診療録に記載

算定できないとされるパターン

  • 診療情報提供料(Ⅰ)を算定した月
  • 特別の関係にある保険医療機関に情報提供
  • 初診時(次回来院予定なしの場合)

さいごに

診療情報提供料(Ⅲ)とは、別の医療機関が診療情報くださいといってきたものに対して、診療情報提供した場合に算定できるものと解します。

こあざらしはそのように読み解きました。みなさんはいかがでしたでしょうか?

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この記事を書いた人

医療事務(診療所・病院)、レセプト審査(保険者)、医科歯科事務経験、介護事務経験あり。ブログは、査定事例の解釈・レセプト実務に必要な知識を重点的に更新♪

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