診療情報提供料(Ⅰ)の算定方法解釈|令和2年診療報酬改定を読解

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こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。

診療情報提供料(Ⅰ)の算定解釈についてまとめたいと思います。

こあざらし
点数改定を含めて、解説してみました。
目次

診療情報提供料(Ⅰ)の算定方法「患者紹介のための診療情報提供をした場合」

保険医療機関が、別の医療機関での診療の必要を認め、診療状況を示す文書を添えて患者の紹介を行った場合に紹介先医療機関ごとに月1回に限り250点の算定が出来るものです。

算定するポイントとして以下のものが挙げられます。

  • 提供先に受診を伴う患者を診察のうえで紹介
  • 別の保険医療機関に対しての紹介
  • 入院中以外の患者
  • 医療機関ごとに月1回まで可能
  • 保険医療機関以外への提供時は提供先を摘要記載する

提供先に受診を伴う患者を診察のうえで紹介

診療情報提供料(Ⅰ)が算定出来る大前提とは、文書の提供先に患者の受診が伴うのかどうかという部分と診察があるかどうかという部分です。

医療機関同士が診療情報の文書やりとりだけを行い、患者が診察を伴う形で持参していないのであれば算定は出来ません。

つまり、患者が自院で診察を受けたのち、作成した診療情報を持参し相手先で診察を受けるという場合に算定出来ると解されています。

こあざらし
今回の令和2年改定では、特例が追加されたようです。

別の医療機関に対して紹介

自院以外の病院に対して紹介が行われた場合に算定が出来ます。

院内の診療科への紹介は対象外です。特別な関係の病院(あるいは併設している施設)へ診療情報を提供したとしても算定対象外です。

自院の医科から歯科へというのも算定出来ません。

入院中以外の患者

入院中の算定は出来ません。外来患者に限るとされています。

入院患者で算定出来る場合とは、退院日に限り算定可能です。

入院加療中の患者の経過報告的に提供した場合の点数は算定出来ないものと解されていますので算定注意です。

医療機関ごとに月1回まで可能

医療機関が異なれば、その医療機関ごとに月1回まで算定可能です。

月が変われば、同じ医療機関に対してもまた月1回の算定が可能となります。

ただし、紹介した2医療機関が特別な関係となっている場合、それぞれ別に紹介したとしても、1医療機関として数えますので気をつけましょう。

保険医療機関以外の提供先

「注」ごとに分類され、「注」につき月1回のみの算定となります。

「注」の中で同月に複数提供があった場合も1回として数えますので気をつけましょう。

保険医療機関以外【注2】

保健福祉サービスに必要な情報を提供した場合に算定できる提供先

  • 市町村
  • 保健所
  • 精神保健福祉センター
  • 指定居宅介護支援事業者
  • 指定介護予防支援事業者
  • 地域包括支援センター
  • 指定特定相談支援事業者

保険医療機関以外【注3】

訪問薬剤管理指導に必要な診療情報を提供した場合に算定できる提供先

  • 保険薬局

保険医療機関以外【注4】

「入所している患者」の医療機関での診療に基づく情報の提供をした場合

  • 精神障害者施設
  • 介護老人保健施設(併設除く)
  • 介護医療院

保険医療機関以外【注5】

入所等のため、診療情報の提供をした場合

  • 介護老人保健施設(併設除く)

保険医療機関以外【注6】

認知症の鑑別診断、治療方針の選定等のため診療情報の提供をした場合

  • 認知症疾患医療センター

算定できない提供先の例

  • 整骨院
  • 鍼灸院
  • 学校
  • 保育園
  • 特定の人物宛て(産業医、保健師、教諭などは保健所や市町村を通じて行われるべきなので直接は認められていない)
  • 有料老人ホーム
  • 社会福祉協議会
  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) など

病児・病後児保育事業医師連絡票(市長宛)提出は月1回まで算定可能です。レセプト摘要記載する際は、市長宛てということではなく、病児・病後児保育事業医師連絡票ということが分かるよう記載した方がいいです。

グループホームや介護老人保健施設は対象ですが、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は対象外だということで過去に事務連絡も出ているので算定には気をつけましょう。

【点数改定】学校医との連携

学校医等に対して、診療状況を示す文書を添えて、当該患者が学校生活を送るに当たり必要な情報を提供した場合に、患者1人につき月1回に限り算定できる点数が新設されました。

学校医宛てに算定が可能となります。

【注7】保険医療機関が、児童福祉法第56条の6第2項に規定する障害児である患者について、診療に基づき当該患者又はその家族等の同意を得て、当該患者が通学する学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中学部の学校医等に対して、診療状況を示す文書を添えて、当該患者が学校生活を送るに当たり必要な情報を提供した場合に、患者1人につき月1回に限り算定する。

(16) 「注7」については、児童福祉法第 56 条の6第2項に規定する、人工呼吸器を装着して いる障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児である患者につい て、当該患者が通学する学校教育法(昭和 22 年法律第 26 号)第1条に規定する小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中学部 (以下「義務教育諸学校」という。)の学校医等に対して、当該義務教育諸学校において当該患者が生活するに当たり看護職員が実施する診療の補助に係る行為について、学校医等が指導、助言等を行うに当たり必要な診療情報を提供した場合に算定する。
(17) 「注7」に掲げる「学校医等」とは、当該義務教育諸学校の学校医又は義務教育諸学校が 医療的ケアについて助言や指導を得るために委嘱する医師をいう。
(18) 「注7」については、当該保険医療機関の主治医と学校医等が同一の場合は算定できない。

【点数改定】電話再診等における算定

診療情報提供料(Ⅰ)で緊急時の特例がついに解禁されたという感じですね!

今までは、診察した上で診療情報提供をするという形じゃないと請求しちゃダメだったんですけど、今回、改定されました。

どういうことかと言うと…

患者さんから突然電話が!内容を聞くと緊急受診が必要そうじゃないか!ということで、緊急受診可能な医療機関を受診する指示を出しました。(電話連絡だけで、実際に診察はしてませんよ。)

電話やりとりで患者に受診を指示して、後からその病院に診療情報FAX送っときますねと処理したとしても従来のルールでは算定出来る点数はなかったんです。

患者の紹介を行いますが、対面ではなく、文書は直接紹介先に送りますという形です。

今回の改定でようやく正式に算定が認められることに!

当該再診料を算定する際には、第2章第1部の各区分に規定する医学管理等は算定できない。ただし、急病等で患者又はその看護に当たっている者から連絡を受け、治療上の必要性から、休日又は夜間における救急医療の確保のために診療を行っていると認められる次に掲げる保険医療機関の受診を指示した上で、指示を行った同日に、受診先の 医療機関に対して必要な診療情報を文書等(ファクシミリ又は電子メールを含む。)で提供した場合は、区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)を算定できる。

(イ)地域医療支援病院

(ロ)救急病院等を定める省令に基づき認定された救急病院又は救急診療所

(ハ)「救急医療対策の整備事業について」に規定された病院群輪番制病院、病院群
輪番制に参加している有床診療所又は共同利用型病院

再診料の「電話等による再診」

【点数改定】オンライン診療料における算定

【注3】 別に厚生労働大臣が定める地域に所在する保険医療機関において、医師の急病等やむを得ない事情により診療の実施が困難となる場合であって、当該保険医療 機関が、同一の二次医療圏(医療法第30条の4第2項第12号に規定する区域をい う。)に所在する注1に規定する施設基準に適合しているものとして地方厚生局 長等に届け出た他の保険医療機関に依頼し、情報通信機器を用いて初診が行われた場合に、患者1人につき月1回に限り算定する。

(19) 「注3」に規定する診療に係る事前の診療情報の提供について、区分番号「B009」 診療情報提供料(Ⅰ)は別に算定できない。

オンライン診療料

【点数改定】遠隔連携診療料

(7) 事前の診療情報提供については、区分番号「B009」診療情報提供料(Ⅰ)は別に算定できない。

遠隔連携診療料

診療情報提供料(Ⅰ)と(併)算定出来ないパターン一覧

  • A003 オンライン診療料の「注3」に該当する診療に係る事前の診療情報提供
  • A238-6 精神科救急搬送患者地域連携紹介加算
  • B001-2 小児科外来診療料
  • B001-2-9 地域包括診療料
  • B001-2-10認知症地域包括診療料
  • B001-9 療養・就労両立支援指導料
  • B005-4 ハイリスク妊産婦共同管理料1(同日)
  • B005-6 がん治療連携計画策定料
  • B005-6-2 がん治療連携指導料
  • B005-6-4 外来がん患者在宅連携指導料
  • B005-7 認知症専門診断管理料
  • B005-7-2 認知症療養指導料
  • B005-7-3 認知症サポート指導料
  • B005-8 肝炎インターフェロン治療計画料
  • B005-10 ハイリスク妊産婦連携指導料1
  • B005-10-2 ハイリスク妊産婦連携指導料2
  • B010-2 診療情報連携共有料(同一の医療機関に対して)
  • リハビリテーション計画提供料1
  • 各種入院料(退院時を除く)
  • 公費申請の意見書(他に自費で支払いがあるもの)

などが考えられます。

指導管理料の所定点数に含まれるというものについては、注や通知の規定にあるものに関連する診療情報提供があった場合が併算定不可と解されます。

全く関連しないのであれば、指導管理料に含まれるものではないため併算定も可能と解釈が出来ます。

さいごに

診療情報提供料(Ⅰ)とは、「紹介を目的とした文書提供」です。

そのイメージを持っておくと、算定をしやすいですね。

査定事例については過去にまとめてますので、一緒に確認しておいてください。

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この記事を書いた人

医療事務(診療所・病院)、レセプト審査(保険者)、医科歯科事務経験、介護事務経験あり。ブログは、査定事例の解釈・レセプト実務に必要な知識を重点的に更新♪

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