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レセプトで診療情報提供料(Ⅰ)の算定が査定になる理由
こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。
今日は診療情報提供料の算定注意事項についてまとめたいと思います。
B009 診療情報提供料(Ⅰ)が査定になる理由
月1回
保険医療機関が、診療に基づき、別の保険医療機関での診療の必要を認め、これに対して、患者の同意を得て、診療状況を示す文書を添えて患者の紹介を行った場合に、紹介先保険医療機関ごとに患者1人につき月1回に限り算定する。
1人につき月1回に限りということですが、情報提供先の医療機関が異なれば月1回にとどまらず、医療機関ごとに算定が可能です。
よく算定誤りが起こっている内容では、相手先の病院が複数の診療科を持つ場合であり、診療科ごとに各々出してしまっている場合などですね。
残念ながら診療科単位で算定をすることは出来ません。
摘要記載については特に指定がないため必要性のない項目ではありますが、1人の患者に対して1月2通以上の提供となった場合は入れておいたほうがいいと思います。この2通は異なる病院宛てに提供していますという証拠を病院名記載という形で示すことで審査委員も納得します。
審査自治体に差異がありますので、注記ない場合は容赦なく査定と判断されることもあります。
また、医療機関に照会をしてから判断をする場合もありますので、その手間をかけさせて審査を長引かせるよりかは予め書いておくほうが親切です。
入院中
診療情報提供料は入院中に算定することが出来ません。退院日のみ算定が出来ますので、入院患者への算定については日計表を確認するようにしましょう。
入院・外来
入院・外来が別レセになってしまうのでうっかり見落としがちになりますが、情報提供先が同じであれば1医療機関から提供するものなので外来入院の各々で必要性があり情報提供を行った場合であっても、保険請求は認められません。1医療機関に対して月1回までです。
返書のみ
「診療状況を示す文書を添えて患者の紹介を行った場合」が算定対象患者です。患者の診療に関して必要な情報を添付し紹介が行われた場合でなければなりません。
Q.診療情報提供料(Ⅰ)は、紹介元医療機関への受診行動を伴わない患者紹介の返事について、照会先医療機関が算定できるか。
平成25年6月14日事務連絡
A.算定できない。
また、事務連絡より、診療が伴う受診を患者が行うことが算定条件になってきます。
そのため、ご紹介に対するお礼の返書のみで相手先医療機関では診療が行われない場合は診療情報提供料の算定は対象外と考えられます。
例えば入院中の経過観察を行っている患者の近況報告などを紹介元医療機関に行う場合なども対象外と考えられます。
医療機関以外の紹介先
- 保険医療機関が、診療に基づき患者の同意を得て、当該患者の居住地を管轄する市町村又は介護保険法第46条第1項に規定する指定居宅介護支援事業者、同法第58条第1項に規定する指定介護予防支援事業者、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第51条の17第1項第1号に規定する指定特定相談支援事業者、児童福祉法第24条の26第1項第1号に規定する指定障害児相談支援事業者等に対して、診療状況を示す文書を添えて、当該患者に係る保健福祉サービスに必要な情報を提供した場合に、患者1人につき月1回に限り算定する。
- 保険医療機関が、診療に基づき保険薬局による在宅患者訪問薬剤管理指導の必要を認め、在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なものの同意を得て、当該保険薬局に対して、診療状況を示す文書を添えて、当該患者に係る在宅患者訪問薬剤管理指導に必要な情報を提供した場合に、患者1人につき月1回に限り算定する。
- 保険医療機関が、精神障害者である患者であって、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する障害福祉サービスを行う施設又は福祉ホーム(以下「精神障害者施設」という。)に入所若しくは通所しているもの又は介護老人保健施設に入所しているものの同意を得て、当該精神障害者施設又は介護老人保健施設に対して、診療状況を示す文書を添えて、当該患者の社会復帰の促進に必要な情報を提供した場合に、患者1人につき月1回に限り算定する。
- 保険医療機関が、診療に基づき患者の同意を得て、介護老人保健施設又は介護医療院に対して、診療状況を示す文書を添えて患者の紹介を行った場合に、患者1人につき月1回に限り算定する。
- 保険医療機関が、認知症の状態にある患者について、診断に基づき認知症に関する専門の保険医療機関等での鑑別診断等の必要を認め、当該患者又はその家族等の同意を得て、認知症に関する専門の保険医療機関等に対して診療状況を示す文書を添えて患者の紹介を行った場合に、患者1人につき月1回に限り算定する。
保険医療機関以外に診療情報提供を行う場合は提供先の摘要記載が必要となっています。
紹介先も算定の取り決めがありますので、医療機関以外で提供する場合は一度目を通しておきましょう。
薬局への提供の場合は、通院困難と判断できる病名がレセプトにない場合は査定対象となります。
算定対象外と考えられる提供先
- 鍼灸院や整骨院(接骨院)
- 学校・保育園(病児保育を除く)
- 産業医
紹介先未定(宛先未定)
Q.診療情報提供料(Ⅰ)について、紹介先の医療機関を特定せずに、診療状況を示す文書を患者に交付しただけの場合には算定できるのか。
平成20年12月26日事務連絡
A.算定できない。
紹介先が決まっていない場合、保険請求は認められません。
診療科のみ特定し、病院未定の形でも保険請求は認められていません。
公費申請のための文書
提供される情報の内容が、患者に対して交付された診断書等であって、当該患者より自費を徴収している場合、意見書等であって、意見書の交付について診療報酬又は公費で既に相応の評価が行われている場合には、診療情報提供料(Ⅰ)は算定できない。
公費申請(小児慢性疾患受給者証、特定疾患受給者証など)や更新のための意見書や診療状況を示す文書に該当するものは自費にて患者から診断料を徴収しているため、保険にて診療情報提供料としての請求は認められていません。
ただし、自費徴収していない場合の意見書に関しては算定可能かと思われますので、その旨を記載して保険請求してみてはいかがでしょうか。
2重請求ができないという意味に解されるため、自費徴収していなければ可能なものです。
特別の関係にある病院
A保険医療機関には、検査又は画像診断の設備がないため、B保険医療機関(特別の関係にあるものを除く。)に対して、診療状況を示す文書を添えてその実施を依頼した場合には、診療情報提供料(Ⅰ)は算定できる。
特別の関係にある病院への診療情報提供料は算定できません。
初診時診察料の算定有無
- (5)の場合において、B保険医療機関が単に検査又は画像診断の設備の提供にとどまる場合には、B保険医療機関においては、診療情報提供料(Ⅰ)、初診料、検査料、画像診断料等は算定できない。なお、この場合、検査料、画像診断料等を算定するA保険医療機関との間で合議の上、費用の精算を行うものとする。
- (5)の場合において、B保険医療機関が、検査又は画像診断の判読も含めて依頼を受け、その結果をA保険医療機関に文書により回答した場合には、診療情報提供料(Ⅰ)を算定できる。なお、この場合に、B保険医療機関においては、初診料、検査料、画像診断料等を算定でき、A保険医療機関においては検査料、画像診断料等は算定できない。
検査依頼を受けて検査を行った患者ですが、判読などを含めて実施した場合は診察料と検査料、併せて診療情報提供料(Ⅰ)の算定が出来ます。
もし判読は行わず撮影のみとなった場合等は診療情報提供料以前に検査実施費用も算定できませんので注意しましょう。検査費用については、検査依頼元の医療機関に相談する形になります。合議の上で費用の精算をしましょう。
併算定不可
- 入退院支援加算
- がん治療連携計画策定料
- がん治療連携指導料
- 外来がん患者在宅連携指導料
- 小児科外来診療料
- ハイリスク妊産婦共同管理料
- 認知症専門診断管理料
- ハイリスク妊産婦連携指導料
- 診療情報連携共有料
など
加算が査定になる理由
退院時診療情報添付加算
- 保険医療機関が、患者の退院日の属する月又はその翌月に、添付の必要を認め、当該患者の同意を得て、別の保険医療機関、精神障害者施設又は介護老人保健施設若しくは介護医療院に対して、退院後の治療計画、検査結果、画像診断に係る画像情報その他の必要な情報を添付して紹介を行った場合は、200点を所定点数に加算する。
- 「注7」に掲げる退院患者の紹介に当たっては、心電図、脳波、画像診断の所見等診療上必要な検査結果、画像情報等及び退院後の治療計画等を添付すること。また、添付した写し又はその内容を診療録に貼付又は記載すること。なお、算定対象が介護老人保健施設又は介護医療院である場合は、当該加算を算定した患者にあっては、その後6か月間、当該加算は算定できない。
外来で当月は診療情報提供料を算定してしまっているため、入院で加算のみで請求される場合がありますが…。所定点数に加算する点数なのでバラバラでの請求を認めるかどうかきわどいところです。審査自治体ごとに異なりますので、この請求の形を認めているところもあるのですが、基本的には診療情報提供料の算定日に行うことが好ましいです。
一応、退院の翌月まで算定は可能ですので、退院後の外来受診時でも算定は可能です。退院日の記載が必要な項目なので、退院月の翌月を過ぎた算定においては査定対象となりますので気をつけましょう。
もし2医療機関に情報提供
2通ある場合それぞれに算定可能かというところですが、各々の病院にて退院後の適切な診療が必要とされる場合においては概ね認められる傾向です。過剰と考えられる例では、同じ診療科とおぼしき病院2つに診療情報提供を行った場合です。
例えば、産婦人科で妊婦の紹介を行う症例があったとします。
産婦人科2病院に今後の診療をお願いするというのはあまりないですよね。もしかしたら事情があって2病院に通院する必要性がある方かもしれません。ですが、書面上での判断となってしまうと、少し算定過剰なように思われてしまいます。
認知症
保険医療機関が、認知症の疑いのある患者について専門医療機関での鑑別診断等の必要を認め、当該患者又はその家族等の同意を得て、当該専門医療機関に対して、診療状況を示す文書を添えて、患者の紹介を行った場合は、認知症専門医療機関紹介加算として、100点を所定点数に加算する。
「認知症の疑い」がある患者に対して算定が出来ます。よって、既に病名が確定している患者においては保険請求は認められていません。ただし、鑑別後に再度受診があり確定となっている場合などは、鑑別診断後の確定病名だと分かるように注記しておくと審査側に認めていただけると思います。
精神障害
精神科以外の診療科を標榜する保険医療機関が、入院中の患者以外の患者について、うつ病等の精神障害の疑いによりその診断治療等の必要性を認め、当該患者の同意を得て、精神科を標榜する別の保険医療機関に当該患者が受診する日の予約を行った上で患者の紹介を行った場合は、精神科医連携加算として、200点を所定点数に加算する。
「うつ病の疑い」等がある患者に対して算定が出来ます。よって、既に病名が確定している患者においては保険請求は認められていません。ただし、鑑別後に再度受診があり確定となっている場合などは、鑑別診断後の確定病名だと分かるように注記しておくと審査側に認めていただけると思います。
さいごに
算定に疑義が出そうな場合は注記などを加えて、審査委員に対して判断の材料を提供しましょう。他にもいろいろなパターンがあるかとは思いますが、とりあえずよく査定を見る部分について挙げてみました。何かの参考になれば幸いです。