質問回答|レセプトで抗生剤が査定になる理由。手術後の抗生剤投与の傷病名は必要なのか?

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こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。

こあざらし
抗生剤の傷病名について質問がありましたので回答します。
目次

[質問]手術後の抗生剤投与の傷病名は必要なのか?

整形外科で手術後に使う抗生物質の傷病名記載について、手術当日から3日間は、傷病名が省略可能で、3日目以降の抗生物質投与には傷病名が必要と聞いていました。しかし、新しく赴任された先生は、手術があれば抗生剤投与の傷病名が全くいらないと言われています。どうすればいいんでしょうか?

こあざらしの回答

薬剤の審査は特に自治体や地域で差異があるものです。

こあざらし
お住まいの地域の審査傾向はどうでしょうか?

聞き受けていらっしゃるのが3日というラインなのであれば、質問者様の地域では、そのラインを超えた場合の抗生剤については認められていない傾向にある可能性が高いと思います。

過去レセプトの査定統計から算出されているのであれば、その審査方法がその地域の審査機関の特性です。

煮えきらない回答になってしまって申し訳ないですが、実際に審査差異が多い部分で、一律の基準はありません

医療機関で働いていると、新しく他都道府県より赴任してきた医師が、今まで聞いていたやり方とは違うレセプト請求方法を行われ、事務側としては戸惑うことがあります。その場合は医師と一度話し合いの機会を持たれた方がいいと思います。地域特性があり、認めてもらえにくいのですがという相談を。

確かに、傷病名が無くても認めてもらえる自治体もありますので、新任の医師がおっしゃられていることも間違いではないのです。その地域がそうだったということで。

こあざらし
ついでなので、抗生剤が査定になる理由で多いものをお話ししておきます。

レセプトで抗生剤が査定になる理由

レセプト請求時に注目したい部分をいくつか挙げておきたいと思います。

手術や処置の侵襲度

麻酔薬がレセプトに上がってこないほどの少量麻酔での比較的低侵襲な処置非観血的手術においては、抗生剤の使用までは過剰と判断される場合があります。

この査定傾向がある場合、レセプトを見て、素人目にもこれは…と思うようなレセプトがあれば、病名か摘要記載を入れた方が良いと思います。

DPCでの請求

DPCでの査定理由で多いのは、術中薬剤としての算定は不適切という判断です。

もともと炎症や感染症病名がない患者で、手術の後に抗生剤が必要となったと判断出来るレセプトにおいては、術後の使用と判断されます。

つまり、術中の使用ではないと考える審査があります。

DPCで算定出来る薬剤は術中薬剤出来高算定が許された指定高額薬剤退院時投薬くらいです。

薬剤の適応に『二次感染』や『術後…』があるものは特にこのような判断を受けやすい抗生剤ですので、査定傾向があるようでしたら気をつけてみてください。

こあざらし
手術の侵襲度に応じて、数キットは認める(感染予防)というような自治体もあります。

全査定にはならないものの一部査定があるといった場合ではそのような審査基準で判断されてると考えられます。

麻酔時間や手術の種類と用法を組み合わせて確認してみたとき、手術室を出た後に使っていると判断できる部分は査定されやすいのでキット数も点検するようにしてください。

抗生剤の種類

一般的によく使われるセファゾリンナトリウムなどであれば、そんなにも病名を求められることはないのですが、ロセフィンダラシンバンコマイシンフルマリンなどの薬剤は患者の状態によっては傷病名や摘要記載を要します。

こあざらし
常に要するのではなく、患者の症状に応じてです。

診療行為や病名から類推できる場合は審査でも認めてもらえてることが多いと思います。

少し薬価が高い抗生剤には、それなりの傷病名や摘要が必要ではないかと常に疑ってレセプトを見てみると査定防止につながります。

抗生剤の2剤使用

抗生剤を2剤併用している場合、1剤に査定となることがあります。レセプトで、2種類の抗生剤が使われていないかも請求時には確認が必要です。

内服と注射の併用

院外処方や院内処方で内服薬があり、医療機関にて注射の実施があった場合、抗生剤の内服注射の併用と判断されて、主たる薬剤のみに査定されることがあります。

こあざらし
内服薬と注射薬で抗生剤が出ていないか確認しましょう。

薬理的に重なる期間での同時使用でなければ認められると思いますので、もしも査定になりやすい傾向があるようでしたら、服用期間が重なっていないことを強調して摘要記載しておいた方が良いと思います。

抗生剤の長期投与

内服薬で7日や14日を超える投薬を漫然と行っている場合、検査を行わずに追加投与を行っている場合など、病名によっては査定対象となることがあります。(抗酸菌症は長期投与を行いますが、これは例外です)

添付文書に長期投与に関する注意喚起をしている投薬もあり、その指定期間を超えた場合は検査が行われていないと認められないことがあり、注意してみていただきたい部分です。

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この記事を書いた人

医療事務(診療所・病院)、レセプト審査(保険者)、医科歯科事務経験、介護事務経験あり。ブログは、査定事例の解釈・レセプト実務に必要な知識を重点的に更新♪

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