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歯科事務初級者に必要なレセプト知識(基本病名編)
こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。
歯科事務で歯式を学習した後に覚えていきたいのが、病名の略称です。
最低限これだけは最初に覚えておきたいというものだけ抜粋してます。まだまだ他にもたくさんの病名がありますが、いっぺんに並べてしまうとやる気がなくなってしまうかもしれないので。
レセプト略称(傷病名)
G(歯肉炎)
歯茎に炎症がみられる、もしくは歯磨きによる出血が見られるもの。歯槽骨にまではまだ症状が及んでいない軽度の歯周病です。
単純性、複雑性、増殖性、潰瘍性、壊疽性、肥大性などの種類がありますが、主に使用されるのは単純性です。その場合、レセ表記はGとのみ記載されていることが多いです。歯周治療の算定において使用される病名です。
P(歯周炎)
歯茎の炎症、歯磨きによる出血に加え、歯周ポケットが深くなってたり、歯槽骨が溶けるなど顎の骨にまで症状が及んでいる歯周病です。
厳密に言うと、P1、P2、P3の重症度分けがあります。数字が大きいほど重症ですが、レセ表記においてはPとのみ記載されていることが多いです。歯周治療の算定において使用される病名です。
GとP
GとPの違いが分かりづらいとは思いますが、Pの方が重症な歯周病。Gの方が軽度な歯周病とイメージができればいいと思います。G病名が使われる患者というのは子どもが圧倒的に多いです。大人になると、ほぼP病名が使われています。
歯周病ですので、歯が有る部位の歯茎に対する病名です。歯の無い部分に関しては、病名の歯式からは除外します。
Hys(象牙質知覚過敏症)
読み方はヒス。象牙質が露出しており、甘いものや冷たい飲み物などを口に含むと、その刺激で一時的に痛みを感じる状態の歯です。一般的に言われている知覚過敏とはまさにコレです。
C(う蝕症)
むし歯です。厳密に言うと、C1、C2、C3、C4の重症度分けがあります。数字が大きいほど重症ですが、レセ表記においてはCとのみ記載されていることが多いです。齲蝕治療の算定において使用される病名です。
※C4は残根状態…むし歯の状態が重症で、根っこの部分しか残っていない状態です。
Pul(歯髄炎)
読み方はプル。むし歯が神経にまで達しているか、歯の中の神経が炎症を起こしている状態です。急性、慢性、そして、単純性、化膿性、潰瘍性、増殖性、壊疽性などの種類がありますが、レセ表記ではPulとのみ記載されていることが多いです。根管治療の算定において使用される病名です。
Per(根尖性歯周炎)
読み方はペル。神経を抜いた歯や神経が死んでる歯の根っこが炎症を起こしている状態の病名です。急性、慢性、化膿性、単純性などありますが、レセ表記ではPerとのみ記載して使われていることが多いです。根管治療の算定において使用される病名です。
Hys,C,Pul,Per
これらは歯に対する病名です。C→Pul→Perの順番に虫歯が重症化していってるイメージです。(また、詳しくは診療別の記事で書く予定)
当然ですが、歯がある部分にしか付かない病名です。
MT(欠損歯)
抜歯後、あるいは先天性の欠損を表します。入れ歯やブリッジ作製の算定をする際に使う病名です。
基本的に歯がない部位に使う病名です。(即時義歯など一部例外あり)
病名の併存と移行(難易度:高)
歯科傷病名は疾患ごとで診療行為が異なります。また、同属の疾患を同じ部位に同時につけることはほとんどありません。
同種類の病名併存
GとPは歯周病です。レセプトで併存することはありません。(部位ごとでGとPを分けて請求という症例も私は実務でも見たことないです)
C,Pul,Perは歯の病気です。これも同じ歯に対して、病名が同時に併存することはありません。
歯周病(P,G)と歯の病気(Hys,C,Pul,Per)の病名併存は可能です。歯の周りと歯の本体とでは別なので歯式部位が重複しても問題ありません。
欠損歯(MT)病名の併存
欠損歯病名(MT)は歯周病・歯の病気の歯式部位と重複しないようにします。歯の無い病名と歯が有る病名の部位重複は矛盾が生じてしまいます。
併存が有り得るパターン
【例1】抜歯翌月に抜歯部位(Per)の経過観察。抜いた箇所を含む義歯作製(MT)という組み合わせ。
Perは既に抜歯済みの歯なので、レセで請求する際には抜歯部位の経過観察だとわかる注釈か病名の入力が必要です。(Perは歯に対する病名なので、歯が無いと成立しない病名です)
ちなみに、抜歯手術の算定月は特に注釈なく病名併存可能です。
【例2】残根状態の歯(C4)と義歯作製(MT)という組み合わせ。
残根の歯を含んだ入れ歯を作製することがあります。
残根とは、歯が根っこだけで残っており、ほぼ歯としては機能していないものです。
一応は歯が残っている状態ですので、もちろんP病名がある患者であれば歯式には含まれます。
残根の上に義歯を作る場合もありますので、その場合、MT病名の歯式部位と重複することになります。
「残根上義歯」という注釈をつけて請求することが出来ます。
移行病名 (病名→病名)
ひと月に複数回受診をする患者で、中には、病状が進行している場合があります。
月初めはCだったのに、2回目の受診ではPulの状態になっているという患者がいたとします。ひと月で見ると、同じ歯に対して2つの病名が併存してしまいますね。
CでもPulでも行いうる共通項目の算定だけであれば大は小を兼ねるの考えで、患者が持つ一番重症な病名で1本化すればいいと思います。
もしCだけでしかやらない診療行為やPulだけでしかやらない診療行為を同月内に行った場合は一本化ではなく、個別の病名表記が必要となります。
その際にはバラバラの病名でなく、C→Pulのように病名と病名を→でつなぎ、1つの病名とする移行病名を使用します。
余談ですが
移行病名使用の翌月からは移行後の病名に1本化整理するようにしておいた方がレセプトが見やすくなります。できるだけ現状に近い病名で管理しておくと、レセプト点検が楽になります。
さいごに
文字で書くと、なんだか複雑になってしまいました。医者じゃないので専門性には欠けますが、レセプト請求においての知識として参考にしていただければと思います。
一つ一つの病名に対して、今回あまり深く触れてはいませんが、今後の記事で処置の流れに沿った保険算定とともに詳しくお伝えしたいです。