レセプトでアルブミン定量(尿)の算定が査定される理由

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こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。

今日は、医科点数表の検査についてお話ししようと思います。

こあざらし
尿中アルブミン定量の算定注意事項についてまとめます。
目次

レセプトで尿中アルブミン定量が査定される理由

糖尿病の疑い

D001の8 アルブミン定量(尿)は通知に「糖尿病又は糖尿病性早期腎症患者であって微量アルブミン尿を疑うもの(糖尿病性腎症第1期又は第2期のものに限る。)に対して行った場合に、3か月に1回に限り算定できる。」とされている検査です。

よって、保険請求可能とされるのは「糖尿病」確定患者というのは算定要件になってきます。「糖尿病の疑い」は通知の内容を満たさないため、査定という判断になります。

もちろん、「早期腎症」という病名の背後には「糖尿病」起因であることが算定要件ですので、ただの「早期腎症」病名のみでは、それも査定対象となるものです。

ちなみに、糖尿病性早期腎症で「糖尿病性腎症第1期又は第2期のものに限る」と注釈されていますが、「糖尿病性腎症第1期」や「糖尿病性腎症第2期」という病名記載でなく、「糖尿病性早期腎症」という病名だけでも保険請求が認められるという旨の見解を支払基金が示しています。

こあざらし

末期腎不全等

末期腎不全という重症な患者には、もはや微量アルブミン尿を疑う状態ではないと考えられます。

末期腎不全などが以前からある場合は重症な状態に該当してくるかと思われますので、この検査の意義には沿わないものと判断され査定される例が多いです。

ネフローゼ症候群は大量のタンパク尿が排泄されるため、微量アルブミン尿を疑う状態という算定要件に該当しない症例として判断されることがあります。

主たるものの算定

尿中トランスフェリン、尿中Ⅳ型コラーゲン、尿中アルブミン定量を同時に行った場合、主たるもののみ算定する通知となっています。同時に行った場合は併算定できませんのでレセプトを確認ください。

併算定規定のない項目

併算定に規定のない検査であっても、検査目的が類似である場合は過剰と判断されることがあります。

例えば、シスタチンCですが、早期腎症の評価に有効な検査の1つです。(腎機能評価)

もし検査対象病名が「糖尿病性早期腎症」1つだけの症例に対して、尿中アルブミン定量との併算定を行った場合は請求過剰と判断され、主たるもののみ算定という形で査定される例があります。

ただし、「糖尿病性早期腎症」「腎機能低下」など2つ検査対象病名が見える場合は、それぞれの診断に必要だったものと判断され、認められるケースも有り。

個人的にはどっちも目的は一緒のように思えますけど…難しい世界ですね。このへんは審査委員の裁量が関係してくると思います。

この検査に限らず、類似の検査目的に該当する検査の場合は、それぞれに異なる病名がついており別疾患の診断目的で行われたものだと判断されればそれぞれに算定することが認められているようです。

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さいごに

レセプト点検の際には、病名があるから大丈夫とスルーするのではなく、検査目的にまで目を向けた上でそれぞれに別病名があるか、もしくは併算定の必要性を訴える摘要の記載があるかを確認出来たら査定防止につながるのではないかと考えます。

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この記事を書いた人

医療事務(診療所・病院)、レセプト審査(保険者)、医科歯科事務経験、介護事務経験あり。ブログは、査定事例の解釈・レセプト実務に必要な知識を重点的に更新♪

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