バイアルやアンプルの算定方法。注射薬の残量廃棄分はレセプト請求可能かどうか?

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こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。

注射と言えば、用法によって投与量も変わりますし、注射薬剤を1回でまるまる使い切るとは限らないものです。

請求する際には悩んでしまいますね。

低薬価のものであればさほど医療機関に痛手はありませんが、薬価が高額になってくると話が変わってきます。

にゃこ
わぁ!注射液を半分も捨てちゃってる。
こあざらし
薬剤ごとの使用方法で決まってることだから仕方ないよ。
にゃこ
このときの請求は使用量だけかなぁ?
こあざらし
じゃぁ、今日は残量廃棄の薬剤について勉強してみる?
目次

残量廃棄(残余廃棄)のレセプト請求が認められる場合

瓶(バイアル)や管(アンプル)の薬剤を使用する際に残薬が出る場合がありますよね。

使用せずに廃棄してしまう薬剤です。

この場合の算定についてお話ししたいと思います。

通常の薬剤であれば、使用した量のみを請求する考えになりますが、残量廃棄が必要となった薬剤については取り扱いが異なってくるんです。

『使用後の残液は使用しないこと』と添付文書の注意事項で示されている医薬品に関しては、残量廃棄分を含めた薬剤料のレセプト請求が認められています

ただし、レセプトには『残量廃棄』であることが分かるように記載をしなければなりません。記載を行えば請求可能です。

こあざらし
『使用後の残液は使用しないこと』と添付文書に書かれていない医薬品については特殊な事例を除き認められていません

記載例

①0.79瓶使用 0.21瓶 残量廃棄

使用した量と廃棄量を記載した形です。

②0.21瓶 残量廃棄

純粋に廃棄した量だけを記載した形です。

③残量廃棄

残量廃棄したということだけを記載した形です。

こあざらし
恐らく3パターンありますが、どの形で請求しても構いません。

残量廃棄分のレセプト請求が認められない場合

残量廃棄分の請求も可能だというお話をしましたが、何でもかんでも認められているというわけではありません。

注意して欲しい部分があります。

それは注射薬剤の規格です。

予め残量廃棄となる部分があるというのを知った上で投与しているのであれば、規格は最低限のものを用いなければなりません。

もちろん医療機関が在庫として持っているかということも関係してくるかと思います。

50mg、100mgの規格がある薬剤の算定例

2つの規格を在庫として確保している医療機関最小容量の規格しか在庫のない医療機関とで算定方法が異なります。

実務に沿って具体的なお話にしてみましょう。

使用量125mgのレセプト請求は?

50mg、100mgの両方の規格を持つ医療機関での場合。

  • 100mg 1瓶
  • 50mg 1瓶

最小限の瓶数で抑える場合、このような請求になるかと思います。

50mgしか規格を持たない医療機関での場合。

  • 50mg 3瓶

規格の在庫が50mgしかないため、瓶数は多くなりますがこのような請求になるかと思います。

使用量10mgの場合のレセプト請求は?

  • 50mg 1瓶

どの場合であっても50mg 1瓶の算定になるかと思います。

瓶の半分以上が廃棄になってしまう場合であっても最小の容量で算定するしかありませんから、この場合は50mg 1瓶で請求が可能です。

50mg2瓶と100mg1瓶、高いのはどっち?

なぜ規格の瓶数でとやかく言われなければならないのかというお話ですが、単純に薬価が異なるためです。

50mgを2瓶算定するのと100mgを1瓶算定するのでは請求点数に差があります。

50mgを2瓶のほうが100mg 1瓶よりも点数が高くなってしまうんですね。

こあざらし
100mg規格の在庫がある医療機関では50mg 2瓶として算定をするのは難しい状況です。場合によっては査定されるという覚悟で算定しなければなりません。

書面上、規格の在庫なんて分からないのでは?

在庫があるかどうかなんて書面上分からないだろうと思われるかもしれませんが、実は書面上で容易に調べられます。

同じ医療機関で薬剤を使用している患者のレセプトをかき集めて集計を取れば一目瞭然です。

そのため、審査側には在庫が見えていると考えて請求を行いましょう。

もしも『残量廃棄』と記載していないとどんなことが起こり得るか?

残量廃棄を書かなかった場合、どのようなことが起こるのでしょうか。

用法どおりに計算した際に1瓶や1管をまるまる算定してもおかしくない妥当な量での算定であるかが重要です。

最低限の算定であることが分かる量であれば査定対象にはならないと思いますが、残量廃棄となる量には気をつけたほうがいいと思います。

少量の規格があるのに半分以上廃棄してしまうという症例があれば、審査の目に留まってしまうこともあります。

在庫がないのであれば仕方がないことだと思いますが…。

さいごに

残量廃棄を請求できるということを知らずにいると、医療機関側が損をすることになります。

もちろん、各々の症例によっては審査基準も異なり、一概に認められるとは言いきれません。

ですが、残量廃棄を含めた薬剤料の請求は認められているということは医療事務員として知っておいたほうがいい知識です。

こあざらし
算定できるものは算定しましょう。
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この記事を書いた人

医療事務(診療所・病院)、レセプト審査(保険者)、医科歯科事務経験、介護事務経験あり。ブログは、査定事例の解釈・レセプト実務に必要な知識を重点的に更新♪

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