精密持続点滴注射加算の対象薬剤は?レセプトで査定になる理由。

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こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。

精密持続点滴注射加算は、点滴注射の算定とともによくお見かけする加算ですが、解釈が悩ましかったり。医療事務員にとって、レセプト作成時に少し疑問に思うところ。

にゃこ
精密持続点滴注射加算ってどんな薬に対して算定出来るの?通知に出てる薬剤の「等」の部分が引っかかる。
こあざらし
通知に薬剤の種類が挙げられてるけど、そこに惑わされてるみたいだね。じゃぁ、今日は通知の解釈を確認してみよう!

意外にこの部分ってグレーだなと感じる人も多いのではないでしょうか。今日はその部分を白黒はっきりつけようと思います。


目次

精密持続点滴注射加算の算定解釈

まず通知が前提となりますので、ひと通り確認してみましょう。

通知

(1) 「通則4」の精密持続点滴注射は、自動輸液ポンプを用いて1時間に30mL以下の速度で体内(皮下を含む。)又は注射回路に薬剤を注入することをいう。

(2) 1歳未満の乳児に対して精密持続点滴注射を行う場合は、注入する薬剤の種類にかかわらず算定できるが、それ以外の者に対して行う場合は、緩徐に注入する必要のあるカテコールアミン、βブロッカー等の薬剤を医学的必要性があって注入した場合に限り算定する。

こあざらし
まず、1歳未満なら点滴さえ行っていれば種類気にせず算定可能だってことだね。
にゃこ
じゃぁ、それ以外の人は?

カテコールアミン、βブロッカーとかいう薬剤は全て算定可能なのかという解釈になってきますよね。

ですが、通知をもう一度見てみましょう。

精密持続点滴注射加算とは『1時間に30mL以下で薬剤を注入することをいう』と定義づけられています。つまり、“緩徐に”というレベルは、1時間に30mL以下に当てはまる薬かどうかという話になってきます。

例えば、30mL/時 以下に当てはまらない薬剤であれば、いくらカテコールアミンやβブロッカーだったとしても、算定対象外ということです。(例え話なので具体的にそれに当てはまる薬剤があるか、その有無は調べてないです)

よって、通知(2)に関しては、例として薬剤の種類を一応は載せてくれてはいるものの、その薬剤には1時間30mL以下での用法が多いから注意して見てねというくらいの例示。あまり重視しなくていいです。

こあざらし
惑わされず、通知(1)を最優先に算定を考えてください。

精密持続点滴加算の算定方法

まず、算定出来る薬剤の確認の仕方ですが。薬剤の添付文書を確認してみて下さい。

にゃこ
用法に“緩徐に”と書いてある薬剤?

そこはあんまり気にしなくていいです。どの注射にしても急激に注入することは避けるように促されてますので、用法に緩徐にというワードが入ったものは多いです。

こあざらし
『1時間かけて◯mLを注入』とか、『30分に◯mL』って書いてるようなところを確認してみよう!

用法を確認して、1時間に30mL以下になるかを計算してみましょう。その時、希釈液などの添加が必要な薬剤かどうかも重要です。希釈液がある場合、その総量を含めて1時間の注入速度を計算し直す必要があるからです。

  • 30分に30mL→1時間に60mL
  • 1時間かけて10mL(希釈液100mL)→1時間に110mL

意外と1時間に30mL以下にならないんですよね(笑)

産婦人科系の子宮収縮抑制剤や循環器系薬剤、麻酔薬などが精密持続点滴の用法であることが多いです。

特に注入速度に関して具体的な数字で記載がなければ、精密持続点滴注射加算の対象外と考えられます。

加算のみの算定

注射の手技料無く、加算のみの点数を算定は出来ません。所定点数が何かの事情で他項目に包括されているのであれば、加算も包括となり算定出来ないものと考えられます。材料加算ではなく手技に対する加算ですので、所定点数なしでは認められないです。

まとめ

  • 精密持続点滴注射加算は、1歳未満であれば薬剤の種類に関わらず算定可能。
  • 精密持続点滴注射加算は、30mL/時以下となる用法の薬剤にのみ適応。(添付文書にて用法に具体的な注入速度があるものに限る。希釈液の有無も確認。)
  • 精密持続点滴注射加算は、注射の手技料に加算する点数なので、所定点数の算定がない場合算定できない。
こあざらし
この要件に該当していない場合、査定になる可能性アリです。
にゃこ
そうだったのか~、スッキリ!
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この記事を書いた人

医療事務(診療所・病院)、レセプト審査(保険者)、医科歯科事務経験、介護事務経験あり。ブログは、査定事例の解釈・レセプト実務に必要な知識を重点的に更新♪

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