レセプトで在宅自己注射指導管理料の算定が査定になる理由

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こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。

今日は医科点数表の在宅医療についてお話ししようと思います。

にゃこ
在宅自己注射指導管理料って、通知がいっぱいあって、どこに気をつけたらいいか分からない…。
こあざらし
じゃぁ、今日は算定間違いが起こりやすい場所をピックアップしてみよう!
目次

在宅自己注射指導管理料が査定される理由

いくつかのパターンがあります。よくある査定のパターンを通知と合わせて挙げていきたいと思います。

入院での指導管理の算定

在宅療養指導管理料 通則4
入院中の患者に対して退院時に本款各区分に掲げる在宅療養指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合においては、各区分の規定にかかわらず、当該退院の日に所定点数を算定できる。この場合において、当該退院した患者に対して行った指導管理(当該退院した日の属する月に行ったものに限る。)の費用は算定しない。

在宅療養指導管理料の通則にて告示がありますが、入院中においては在宅指導管理料は基本的に算定できません。他病院入院中もダメ。

退院日のみ算定が可能とされています。日計表を見て、退院日以外の日で算定がある場合は査定対象となります。

入院費用として算定する場合は、退院日の算定であるかを確認するようにしましょう。

こあざらし
ただし、退院日が休日である場合は特例として退院日以外の算定も認められているようです。

入院・外来での指導管理の算定

在宅療養指導管理料 通知(4)
在宅療養指導管理料は1月1回を限度として算定し、特に規定する場合を除き、同一の患者に対して同一月に指導管理を2回以上行った場合は、第1回の指導管理を行ったときに算定する。

同一医療機関での受診の場合は、たとえ、薬剤が異なる場合の指導管理であっても在宅自己注射指導管理料の算定は1回のみとなります。同一医療機関で入院外来受診した場合、レセプトが分かれるので、うっかりと算定してしまいがちな場所です。

複数種類の在宅指導管理を実施

在宅療養指導管理料 通知(6)
同一の保険医療機関において、2以上の指導管理を行っている場合は、主たる指導管理の所定点数を算定する。

在宅酸素や、在宅栄養など、他の在宅指導管理料を算定できる場合、指導管理料の算定は主たる1つとなります。材料加算等は別に算定できますが、所定点数の算定はできないので要注意です。

こあざらし
在宅医療の算定が入り乱れている場合は、指導管理料が1つだけになっているか確認が必要。

エピペン処方時

在宅自己注射指導管理料 通知(6)
アドレナリン製剤については、蜂毒、食物及び毒物等に起因するアナフィラキシーの既往のある患者又はアナフィラキシーを発現する危険性の高い患者に対して、定量自動注射器を緊急補助的治療として用いた場合に限り算定する。

エピペン注に関しては在宅自己注射指導管理料の算定の仕方が特別です。初診時、診療実日数1日においても算定が可能です。当日にエピペン注の在宅処方算定があれば、指導管理料の算定が出来ます。つまり、在宅処方の算定がなければ査定となってしまいます。

逆に、在宅自己注射指導管理料なくエピペン注の在宅処方を算定してしまうと、エピペン注が査定となってしまいます。

エピペン注の在宅処方算定方法とレセプトで査定になる理由

間歇注入シリンジポンプ

在宅自己注射指導管理料 通知(7)
「1」複雑な場合については、間歇注入シリンジポンプを用いて在宅自己注射を行っている患者について、診察を行った上で、ポンプの状態、投与量等について確認・調整等を行った場合に算定する。この場合、プログラムの変更に係る費用は所定点数に含まれる。

間歇注入シリンジの区分で算定する場合は、算定薬剤に注意です。 300単位1セット のような、いかにも普通の自己注射とおぼしき薬剤の算定しかない場合は、「1」複雑な場合の算定から、一般の点数へと査定になってしまいます。

こあざらし
mLでの製剤が算定されているかどうか確認してみてください。

質問回答|持続皮下インスリン注入療法と持続血糖測定している患者に血糖自己測定の併算定は可能でしょうか?

初診月での指導料算定

在宅自己注射指導管理料 通知(8)
在宅自己注射の導入前に、入院又は2回以上の外来、往診若しくは訪問診療により、医師による十分な教育期間をとり、十分な指導を行った場合に限り算定する。また、指導内容を詳細に記載した文書を作成し患者に交付すること。なお、第2節第1款の在宅療養指導管理料の通則の留意事項に従い、衛生材料等については、必要かつ十分な量を支給すること。

この指導管理料を算定する場合、入院をした人もしくは外来で2回受診を経て指導を行われた人等に対して算定が可能という解釈になります。そのため、外来にて初診日における算定は査定対象となります(要件を満たさないため)。

ただし、他病院で既に指導歴(在宅自己注射指導管理料を算定していた歴)がある患者であれば、初診日においても算定することは可能ですので、もし他病院での受診歴を把握している場合は注釈を入れておくと親切です。

摘要を入れてなくても横縦覧審査で見てもらえるとは思いますが、機械的に処理されてしまうと一度査定となってしまうかもしれません。再請求するのも煩わしいので予め記載を入れておく方が無難です。

薬剤の用法より月回数を数える

在宅自己注射指導管理料 通知(9)
「2」については、医師が当該月に在宅で実施するよう指示した注射の総回数に応じて所定点数を算定する。なお、この場合において、例えば月の途中にて予期せぬ入院等があり、やむを得ずあらかじめ指示した回数が在宅で実施されなかった場合であっても、当該指示回数に応じて算定することができる。ただし、予定入院等あらかじめ在宅で実施されないことが明らかな場合は、当該期間中の指示回数から実施回数を除して算定すること。また、「2」は区分番号「B001」の「7」難病外来指導管理料との併算定は可とする。

ノボラピッドやランタス等は頻回に打つことが多い注射なので、28回以上の区分で算定することが多いとは思いますが、それでも油断禁物です。

入院期間を除いた回数計算になりますので、27回以下になることも結構あるんですね。

月回数の数え方は

回数の数え方・基礎編回数の数え方・算定日編回数の数え方・処方量編にまとめています。

こあざらし
退院日と入院期間、投薬の用法を確認したうえで算定が必要です。

導入初期加算

在宅自己注射指導管理料 通知(10) 「注2」に規定する導入初期加算については、新たに在宅自己注射を導入した患者に対し、3月の間、月1回に限り算定する。ただし、処方の内容に変更があった場合は、さらに1回に限り算定することができる。

在宅自己注射指導管理料 通知(11) 「注3」に規定する「処方の内容に変更があった場合」とは、一般的名称に変更があった場合をいう。なお、過去1年以内に使用した一般的名称に変更した場合は、算定できない。

転医してきた場合でも、条件を引き継ぎます。前医でも同じ薬剤で指導があったのであれば、3月を超えていれば導入初期加算の算定はできません。

外来受診時使用の投薬

在宅自己注射指導管理料 通知(12)
在宅自己注射指導管理料を算定している患者の外来受診時に、当該在宅自己注射指導管理に係る区分番号「G000」皮内、皮下及び筋肉内注射、区分番号「G001」静脈内注射を行った場合の費用及び当該注射に使用した当該患者が在宅自己注射を行うに当たり医師が投与を行っている特掲診療料の施設基準等別表第九に掲げる注射薬の費用は算定できない。

在宅自己注射指導管理料を算定する前に、指導のために外来で投与した注射の薬剤費用は算定できます。指導管理料と同日の算定の場合は注射の手技料のみ査定となると思います。同日の算定は審査自治体によっては薬剤査定となる場合があります。

指導管理料算定開始後は、外来における薬剤・注射の費用は算定できなくなります。

こあざらし
在宅指導管理している薬剤以外の注射であれば、薬剤の算定可能です。手技料は審査自治体の解釈によって異なります。

令和2年改定により、緊急時受診の場合に投与したものに限り、算定可能となりました。(R2.3.31事務連絡)

外来化学療法加算

在宅自己注射指導管理料 通知(14)
同一月に第2章第6部の通則6に規定する外来化学療法加算を算定している患者の外来受診時に、当該加算に係る注射薬を用いて当該患者に対して自己注射に関する指導管理を行った場合については、当該管理料を算定できない。

同じ薬剤で外来化学療法加算を算定していれば、在宅自己注射指導管理料を併せて算定することはできません。薬剤が異なれば、たとえ外来化学療法加算がある患者でも算定可能です。

同月複数医療機関での指導料算定

在宅療養指導管理料 通知(9)
退院した患者に対して、当該退院月に外来、往診又は訪問診療において在宅療養指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合は、当該患者について当該保険医療機関において退院日に在宅療養指導管理料を算定していない場合に限り、在宅療養指導管理料を算定することができる。ただし、退院日に在宅療養指導管理料を算定した保険医療機関以外の保険医療機関において在宅療養指導管理料を算定する場合においては、診療報酬明細書の摘要欄に当該算定理由を記載すること。このため、在宅療養指導管理料を算定する場合は、患者に対し当該月の入院の有無を確認すること。

在宅自己注射指導管理料 通知(17)
2以上の保険医療機関が同一の患者について、異なった疾患に対する当該指導管理を行っている場合には、いずれの保険医療機関においても、当該在宅療養指導管理料を算定できる。なお、この場合にあっては、相互の保険医療機関において処方されている注射薬等を把握すること。

同月において在宅自己注射指導管理料をそれぞれの医療機関で算定してしまうと、返戻もしくは査定となります。(管理している薬剤が違えばそれぞれの病院で算定可能です)

前回の診療報酬改定にて、管理する疾患が異なれば、医療機関ごとでの指導料算定が認められることになりました。

指導管理算定時には患者さんに他の医療機関を受診されていないかの確認が必要ですし、同じ薬剤での指導管理を受けていないかの確認もしておいた方が良いと思います。

ただし、退院月の外来受診で指導管理を行った場合、特別な理由があり、同月に両方の医療機関での指導を行う必要があったのであれば、その理由をレセプト記載することによって、両医療機関にて算定可能となります。理由を書いてない場合は、査定となる可能性があります。

薬剤の残薬より、手持ちなし

当月の在宅処方がなく、指導管理料を算定する場合、縦覧で確認して残薬がないと考えられる症例に関しては、在宅自己注射指導管理料の算定は査定されてしまいます。

こあざらし
残薬日数は重要!

さいごに

色々な査定になりうるパターンを書き出してみました。自分のところの病院だけでなく他病院も関わってくるから色々と複雑ですが…。レセプト点検時には、一度確認してみると良いポイントかもしれません。こんな情報ですが、何かの参考になればと思います。

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この記事を書いた人

医療事務(診療所・病院)、レセプト審査(保険者)、医科歯科事務経験、介護事務経験あり。ブログは、査定事例の解釈・レセプト実務に必要な知識を重点的に更新♪

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