中心静脈カテ挿入中の患者へ訪問看護師が中心静脈点滴を行った場合のレセプト算定

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こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。

読者の方からのリクエストで、まずは今回、訪問看護師による中心静脈注射の算定というテーマについて書くことにしました。

目次

レセプト算定に関する記事リクエストの事例

質問者さま
はじめまして。医療事務歴は長いのですが、知らない事ばかりで解釈本と日々向き合ってます。

末梢ルートが破綻して、中心静脈を入れてる方に、訪問看護師が注射した場合の算定です。訪問点滴では中心静脈は算定不可と記載あり。高カロリー輸液は使用ないので在宅中心静脈の管理料も不可??

在宅14立てて薬剤のみで算定するには、在宅で使用出来ない薬剤も使用あり。

7月には中心静脈挿入も算定あり。主に使用した薬剤は、ビーフリード生食、ロセフィン、ヘパナトなどです。

施医総監算定しております。輸液にネオラミン3Bが入ることもあります。

こあざらしの考察

こあざらし
初めまして、私の気まぐれなつぶやきに反応してくださりありがとうございます。

今回の事例内容を通知や事務連絡に目を通して私なりに分析してみました。

事例内容から

  1. 訪問看護師が訪問点滴で中心静脈注射をした場合の手技
  2. 在宅中心静脈栄養法指導管理料の対象となる高カロリー薬とは?
  3. 訪問看護師が訪問点滴で使用可能な薬剤とは?算定する欄はどこ?

この3点に注目して分析していきたいと思います。

訪問看護師が訪問点滴で中心静脈注射をした場合の手技

まず、在宅療養中の患者に訪問看護師が点滴をした場合の算定について参考にする場合、C005−2在宅患者訪問点滴注射管理指導料という点数に注目します。

どのような点数かをざっくり示してくれてる通知が以下のものです。

通知(1) 在宅患者訪問点滴注射管理指導料は、在宅での療養を行っている患者であって、通院困難な者について、当該患者の在宅での療養を担う保険医の診療に基づき、週3日以上の点滴注射を行う必要を認め、当該保険医療機関の看護師又は准看護師(以下この項において「看護師等」という。)に対して指示を行い、その内容を診療録に記載した場合又は指定訪問看護事業者に別紙様式 16、別紙様式 17 の2又は別紙様式 18 を参考に作成した在宅患者訪問点滴注射指示書に有効期間(7日以内に限る。)及び指示内容を記載して指示を行った場合において、併せて使用する薬剤、回路等、必要十分な保険医療材料、衛生材料を供与し、1週間(指示を行った日から7日間)のうち3日以上看護師等が患家を訪問して点滴注射を実施した場合に3日目に算定する。なお、算定要件となる点滴注射は、看護師等が実施した場合であり、医師が行った点滴注射は含まれない。

在宅患者訪問点滴注射管理指導料

保険医の指示を受けて訪問看護師は点滴注射を実施します。この時、医師の指示書の効力は指示日より7日間となっています。

看護師による訪問点滴には注射の手技料は発生して来ませんが、訪問点滴3日目以降には要件を満たせばこの管理指導料の点数が算定出来るようになります。

訪問点滴の実施が1日又は2日の場合→薬剤料のみの算定

訪問点滴の実施が3日以上の場合→ C005−2在宅患者訪問点滴注射管理指導料、薬剤料の算定

このようになると思います。

この点数は暦週で1週につき算定可能となっています。カレンダーで言う横1列並んでる1週間の中で1回算定可能と言う解釈ですね。

こあざらし
ただ、算定要件とは少し区別しなければならないので、そこは注意したいところ…。

訪問点滴実施3日以上を数える起点ですが、これは、医師が指示を出した日から起算して7日間です。しかも、医師ではなく看護師が実施した日数が3日間以上であることが条件です。指示予定では3日以上だったものが、実際に2日以下になってしまった場合は要件を満たさないため薬剤料のみの算定となります。訪問点滴の点数を算定しない2日以内の注射実施となった場合は、その旨を記載した上で薬剤料を請求します。

算定要件を満たさないものは訪問点滴の点数は算定できず薬剤料の算定のみ、算定要件を満たせば週1回頻度で指導管理料も合わせて算定が可能となるので、実施しているのが医師か看護師か、注射実施は指示日より7日間で3日以上の実施があるのか、ここに注目して薬剤料のみか指導管理料を算定するか判断したらいいと思います。

中心静脈はこの指導管理料の対象とならないとの事務連絡より日数に含めることはできません。それ以外を数えて3日以上の実施になる場合は算定できます。

中心静脈が除外対象となっている理由ですが、これは、医師または歯科医師が行うべき範囲の注射として判断されているためです。看護師が行う診療補助として認められているのは、現在、点滴静注や静脈注射、中心静脈の点滴は輸液バッグの交換やカテーテルラインからの混注等となっているみたいです。

在宅中心静脈栄養法指導管理料の対象となる高カロリー薬とは?

C104 在宅中心静脈栄養法指導管理料における高カロリー薬とは薬効分類名で高カロリー輸液に分類されている薬剤が用いられていなければなりません。代表的なもので、ハイカリック、フルカリック、エルネオパ等のような薬剤です。

7月には中心静脈挿入も算定あり。主に使用した薬剤は、ビーフリード、生食、ロセフィン、ヘパナトなどです。輸液にネオラミン3Bが入ることもあります。

今回ご使用になられてる中だと恐らくビーフリードがどうなのかと言うことで悩まれたかもしれませんが、この薬剤の薬効分類名を確認していただくと、高カロリー輸液として分類されていません。ネオラミン3Bに関しましても薬効分類は「神経・筋機能賦活剤」となっています。よって、残念ながら対象薬剤ではないです。

今回の事例では、高カロリー薬に該当する薬剤は見当たらないため、在宅中心静脈栄養法指導管理料の算定はできないと思います。

訪問看護師が訪問点滴で使用可能な薬剤とは?算定する欄はどこ?

訪問点滴の薬剤種類にも注目してみました。

事務連絡に質疑応答がありますが、医師の指示を受けたものであれば、看護師が行う訪問点滴の薬剤種類は特に制限がありません。在宅自己注射に規定されている注射薬とは、患者に手渡し患者自身に投与してもらう薬剤として規定されているものであり、在宅医療で保険算定ができる注射薬を制限したものではありません。

別表第9に示された在宅自己注射指導管理料に規定する注射薬→患者自身に渡す注射薬

訪問点滴で算定可能な注射薬→保険医に指示されたもの

このような取扱いとなっていますので、訪問点滴をする際に算定は手技料なしで「注射」欄で行うこととなります。

ただ、手技料を算定さえしていなければ特に点数変動は出ないため、誤って「在宅」欄に書いていてもいちいち返戻されたりはしません。(これは全部を「注射」欄、「在宅」欄のどちらかにまとめて書いた場合です。)

もし、訪問点滴と在宅自己注射の欄を併用するという場合は、「在宅」欄に自己注射対象薬剤以外のものがあがっていると、自己注射として処方したと判断され、査定される可能性がありますので気をつけたほうがよさそうです。

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この記事を書いた人

医療事務(診療所・病院)、レセプト審査(保険者)、医科歯科事務経験、介護事務経験あり。ブログは、査定事例の解釈・レセプト実務に必要な知識を重点的に更新♪

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