レセプトで在宅自己注射指導管理料の導入初期加算が査定になる理由

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こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。

今回は、在宅医療の在宅自己注射指導管理料の導入初期加算についてまとめたいと思います。

にゃこ
薬剤が変更になった時の3月の数え方が少し自信がないなぁ…。
こあざらし
事務連絡や通知から、解釈を具体例と一緒に見てみよっか!

意外と査定が多い項目なので、復習がてら、算定要件や解釈に目を通していきましょう。

目次

導入初期加算が査定になる理由

3か月経過

注2 初回の指導を行った日の属する月から起算して3月以内の期間に当該指導管理を行った場合には、導入初期加算として、3月を限度として、580点を所定点数に加算する。

最大3月までとなっているので、投薬開始月から数えて3月までしか算定出来ません。

受診間隔が空いたけど、まだ1回しか算定してないからあと2回…というのは解釈が違います。間違えないようにしましょう。

連続月で処方があろうとなかろうと、初回算定月が起算月となり、そこから3月までしか算定出来ません。

こあざらし
3月を超えた算定は査定対象となりますので、よく確認して算定をしましょう。

算定起算例

4月に算定を行った場合、4月・5月・6月であれば月1回は算定が可能という解釈です。7月以降は査定対象となります。

薬剤変更の場合、1月分算定可能

注3 処方の内容に変更があった場合には、注2の規定にかかわらず、当該指導を行った日の属する月から起算して1月を限度として、1回に限り導入初期加算を算定できる。

薬剤の変更があった場合は、たとえ3月の期間が終了したあとだったとしても、1月分の算定が出来ることになっています。さらに3月算定できるというものではありませんので気をつけましょう。

算定起算例

4月に導入初期加算を初めて算定して、起算月から3月内に薬剤変更があった場合

こあざらし
プラス1回という形にはなりません。算定出来るのは、4・5・6月のみで、月1回の算定しかできません。

Q.在宅自己注射指導管理料の導入初期加算を算定している3か月の間に、薬剤の種類を変更した場合は、導入初期加算を合計4か月間算定することができるのか。
A.3か月の間に限り算定する。

平成26年4月4日事務連絡

 

4月に導入初期加算を初めて算定して、それから3月を超えてから薬剤変更があった場合

こあざらし
もし8月に薬剤変更があったとすると、加算が算定出来る月は、4・5・6月と8月のみです。

Q.導入初期加算については、「新たに在宅自己注射を導入した患者に対し、3月の間月1回に限り算定する。ただし、処方の内容に変更があった場合は、さらに1回に限り算定することができる」となっているが、①さらに1回に限りとは、導入後3月の間に月2回算定する月があってもよいか。②あるいは、導入後4月目以降においても1回に限り算定可能ということか。
A.①導入後3月の間に月2回は算定できない。②導入後4月目以降でも1回に限り算定できる。

平成26年4月10日事務連絡

一般名称が同じ薬剤への変更

通知(11) 「注3」に規定する「処方の内容に変更があった場合」とは、一般的名称に変更があった場合をいう。なお、過去1年以内に使用した一般的名称に変更した場合は、算定できない。

販売名が違う薬剤であっても、一般名称が同じものに関しては、薬剤変更とはみなされないため、新たに導入初期加算を算定することは出来ません。

算定起算例

平成30年4月に算定を行う場合、4月が起算となり、4・5・6月。

次に導入初期加算を算定するための薬剤変更として認められるのは翌年(平成31年)の4月以降です。

薬剤使用例

ランタス注⇔インスリングラルギンBS注

こあざらし
これらは一般名称:インスリン グラルギン(遺伝子組換え)であり、販売名こそそれぞれ異なっているものの一般名称が同じであるため薬剤の変更とはみなされません。

 

トレシーバ注⇔ライゾデグ配合注

トレシーバの一般名称はインスリン デグルデク(遺伝子組換え)、ライゾデグ配合注の一般名称は、インスリン デグルデク(遺伝子組換え)・インスリン アスパルト(遺伝子組換え)配合剤です。

こあざらし
ライゾデグは配合剤であるため、この場合は薬剤変更と考えて導入初期加算の算定が可能です。

 

アドベイト静注用⇔アディノベイト

アドベイトの一般名称は、ルリオクトコグ アルファ(遺伝子組換え)、アディノベイトの一般名称は、ルリオクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え)です。

こあざらし
アドベイトとアディノベイトの場合も薬剤変更と考えて導入初期加算の算定が可能です。

治療中に転医した場合

Q.導入初期加算を行っている患者が保険医療機関を変更した場合はどのように取り扱うのか。
A.変更前の保険医療機関から通算して取り扱う。

平成26年4月10日事務連絡

この加算は前医から引き継がれます。もしも他の医療機関にて、導入初期加算の算定をしているのであれば、起算は他病院のものを引き継ぐようになります。

算定起算例

例えば、他病院で4月・5月に導入初期加算算定済み、引き継いで同じ薬剤を管理するのであれば6月しか導入初期加算は算定できません。7月に来院し、同じ薬剤に対して管理を始めることとなった場合、7月は加算対象月にはなりません。

もしも、別の薬剤に対する管理であれば、自院での初回算定月を新たな起算とし、そこから3月の算定が可能です。

〔注〕以外の在宅指導管理料が主たるの場合

在宅自己注射指導管理料以外の在宅指導管理料が主たる点数となり、在宅自己注射指導管理料の算定がない場合、導入初期加算は算定できません。査定対象になりますので、気をつけて算定を行いましょう。

似たような在宅指導管理料で妊娠糖尿病注射指導料という項目がありますが、導入初期加算の算定はできません。算定間違いが起こりやすい箇所ですので気をつけましょう。

さいごに

導入初期加算は通常起算月から3月以内、月1回の算定で最大3回まで算定できる点数です。

一般名称が異なる薬剤変更があれば、起算月から3月を超えてしまった月においても、1回分の算定がさらに算定可能になります。一般名称が同じ場合は変更とはみなされないため起算月から3か月を超えて1年未満の間は導入初期加算の算定はできません。

1年以上経ってから薬剤変更として再度導入初期加算を算定することが認められます。

今日は、導入初期加算についてまとめました。在宅指導管理料は加算の解釈も濃厚な内容となっているので、意外に大変です。他項目についても、早く記事にまとめてしまいたいですね。

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この記事を書いた人

医療事務(診療所・病院)、レセプト審査(保険者)、医科歯科事務経験、介護事務経験あり。ブログは、査定事例の解釈・レセプト実務に必要な知識を重点的に更新♪

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