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DPC特定入院期間Ⅲを超えた化学療法の算定で査定になる理由
こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。
DPC入院の算定は、ほとんとが包括となるので算定自体は楽なのですが、その反面で複雑なルールが隠れているのが落とし穴です。
DPC入院で特定入院期間を超えて算定する化学療法の薬剤については少し注意が必要です。
薬剤料の算定が出来る場合と出来ない場合があるのです。それは、どういった場合なのか確認したいと思います。
DPC特定入院期間Ⅲ超えの化学療法
入院日Ⅲを超えた場合の取扱い
入院期間が診断群分類点数表に掲げる入院日Ⅲを超えた日以降の診療報酬は医科点数表により算定する。ただし、次の点に留意すること。
① 悪性腫瘍患者等(化学療法等を実施されたものに限る。)に対して、診断群分類点数表に掲げる入院日Ⅲまでに化学療法等を実施されない場合は、入院日Ⅲを超えた日以降も当該患者に投与する抗悪性腫瘍剤等の当該薬剤料及び当該薬剤に関する医科点数表に掲げる第2章第5部投薬、同章第6部注射(G020 無菌製剤処理料の費用を除く。)の費用は算定することはできない(当該抗悪性腫瘍剤等以外の薬剤に関する医科点数表に掲げる第2章第5部投薬、同章第6部注射の費用は算定することができる。)。なお、「化学療法等を実施された」診断群分類区分とは、次のいずれかに該当する診断群分類区分をいう。
ア 悪性腫瘍患者に対する化学療法(第2の3の(5)の①に掲げる「化学療法」)に係る診断群分類区分(いわゆる「化学療法あり」の診断群分類区分を含む。)
イ ア以外であって、特定の薬剤名(成分名)を含む診断群分類区分(この場合にあっては悪性腫瘍患者以外の患者が含まれるため留意すること。)
この際、入院日Ⅲを超えた日以降に算定できない「抗悪性腫瘍剤等の当該薬剤料」とは、アに該当する診断群分類区分にあっては、悪性腫瘍に対する抗腫瘍用薬、ホルモン療法、免疫療法等の抗腫瘍効果を有する薬剤(第2の3の(5)の①に掲げる「化学療法」に定義される薬剤)に係る薬剤料であり、イに該当する診断群分類区分にあっては、明示された薬剤(ただし、明示された薬剤以外の薬剤と併用療法とすることが添付文書等により医学的に明らかなものについては当該併用薬剤も含む。)に係る薬剤料である。上記以外の薬剤(例:糖尿病に係る薬剤料)については別に薬剤料を算定することができる。
② 入院日Ⅲを超えた日以降に手術を実施した場合は、「手術あり」の分岐を選択すること。
『厚生労働大臣が指定する病院の病棟における療養に要する費用の額の算定方法の
一部改正等に伴う実施上の留意事項について』には上記のような取り扱いを示した文章があります。
ごちゃごちゃと書いてあってウッとなりますが。
簡単に言えば、DPC入院期間Ⅲを超えた時の化学療法薬剤の算定についてはルールがありますよという話だ。
DPC診断群分類は、手術や処置内容の組み合わせによって、入院料が決定する仕組みのもの。そして、入院期間についての日数もそれぞれ異なります。入院期間Ⅰが1~6日であるものもあれば、1~14日であるものだってある。一定ではなく、症例によって異なるという考え方。
診断群分類点数表の入院期間
診断群分類点数表の入院期間は、同表に掲げられた入院日(日)に応じ、以下によるものとする。
① 入院期間Ⅰ:入院日Ⅰに掲げる日数以下の期間
② 入院期間Ⅱ:入院日Ⅰに掲げる日数を超え入院日Ⅱに掲げる日数以下の期間
③ 入院期間Ⅲ:入院日Ⅱに掲げる日数を超え入院日Ⅲに掲げる日数以下の期間
とにかく、この特定入院期間Ⅲを超えた時の扱いが特殊になるよという話です。
DPC入院期間において初めて化学療法を行ったのか?それともDPC後の入院期間において初めて化学療法を行ったのか?この部分が重要になって来ます。
DPC入院期間にて化学療法の実施有り
4月16日~ 特定入院期間Ⅲ超え入院
4月1日~4月15日までの間に化学療法の実施があった患者の場合。
DPC期間終了後、継続入院となる場合、特定入院期間Ⅲ超え入院となります。Ⅲ超え期間における化学療法の薬剤は算定可能です。
DPC入院期間内に化学療法を実施し治療を開始していれば、たとえ特定入院期間を超えても、薬剤の出来高請求は可能となっています。
DPC入院期間が終わってから化学療法の実施有り
4月16日~ 特定入院期間Ⅲ超え入院
4月1日~4月15日までの間に化学療法の開始はなく、特定入院期間を終えて4月16日以降から初めて化学療法を開始された患者の場合。
DPC期間終了後、継続入院となる場合、特定入院期間Ⅲ超え入院となります。Ⅲ超え期間における化学療法の薬剤は算定不可です。
化学療法に関係ない薬剤については別途出来高での算定が可能です。
薬剤の用法に不可欠とされることが添付文書によって明示されているものは化学療法の一環と考えられます。(希釈液を必要とする用法のもの等)
併用療法薬剤として判断されるのは、直接的な関連性のある薬剤です。一緒にまとめて点滴を行っているからと言って、併用療法薬剤という判断にはなりません。化学療法(抗悪性腫瘍剤)や診断群分類区分に掲げられている薬剤と一緒に持病に対する糖尿病の薬を一緒に投与したとしても、それは関係のない薬ですので出来高での算定が可能です。
まとめ
DPC入院で化学療法の算定が絡んだ症例では、DPC入院期間とDPC診療関連情報での化学療法実施日(注射実施日)の確認が重要。
『抗悪性腫瘍剤』や『特定の薬剤(診断群分類区分の分岐にあるもの)』を特定入院期間Ⅲを超えて算定する場合、これらの化学療法開始日がDPC入院中かDPC後の入院かによって薬剤料の算定の可否が決まりますので、気をつける必要性がありそうです。