救急医療管理加算の算定方法解釈|令和2年診療報酬改定を読解

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こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。

読者の方から救急医療管理加算の改定について質問を受けてたので、共有しておきます。

摘要記載が増えたくらいで、あとはさほど取扱いに変更はありません。

こあざらし
こあざらしなりに読解してみました。
目次

救急医療管理加算の改定内容

救急医療管理加算ですが、「緊急に入院を必要とする重症患者」や「それに準ずる重篤な状態の患者」などが対象となる点数です。

今まで「ア」〜「ケ」という対象患者が通知に示されており、なんとなくそれに該当するかどうかで判断をし、算定していたものと思われます。

病名さえついたら全員算定できる、そんな状態だったんですね。

たとえ病名がつく状態だったとしても、実際に中身を見てみると軽症から重症なものまで様々あるわけなんです。

しかしながら、レセプトだけでは詳細なことは分かりません。そのせいで全国的にも審査にばらつきがあり、審査でもずいぶん揉めていた項目なんですよね(笑)非常に曖昧な点数として扱われていました。

今回の改定では、そこが少し改善され、算定基準が明確化されたものです。

患者の状態へ、深く踏み入ったことにより、レセプトだけでも患者の重症度確認がいくらか可能になります。

こあざらし
なので、これに該当しなければそもそも算定には至らないって感じになったので、算定時にも、ふるいにかけられるという形になりました。

摘要記載で重症度が可視化された

曖昧なものが明確化されたと言いますが、通知だけではあまり変わってないように思いますよね。

記載要領を確認すると、今までとの差がはっきりと分かると思います。

摘要記載するもの

  • 入院時の状態【コードあり】
  • 主要な診療行為コード
  • 救急医療管理加算の算定開始の入院年月日【入院年月日と異なる場合】

算定の解釈については、さほど以前と変わりはなく、基準が明確に示されたということが変更点です。

救急医療管理加算1の摘要記載「入院時の状態」

救急医療管理加算の通知(2)の「ア」から「ケ」までのいずれか該当するものを選択して記載すること。

こあざらし
ここの部分は、以前と変わりません。

通知(2)のイ、ウ、オ、カ(肝不全、腎不全又は重症糖尿病のものに限る。)又はキの状態に該当する場合は、それぞれの入院時の状態に係る指標を記載し、(2)のカに該当する場合であって、肝不全、腎不全、重症糖尿病以外のものについては、具体的な状態を記載すること。

今回の改定では、イ・ウ・オ・カ(肝不全、腎不全又は重症糖尿病のものに限る。)・キ については、さらに詳しい摘要が求められています。

摘要記載の変更点

  • 「イ」意識障害又は昏睡
  • 「ウ」心不全、呼吸不全
  • 「オ」ショック
  • 「カ」代謝障害
  • 「キ」広範囲熱傷

これらの項目で算定する場合は、入院時の状態に係る指標を記載することとなりました。それぞれコード化された指標があるので、そちらから選択するようになると思います。

「イ」意識障害の摘要記載

  • 意識障害又は昏睡:JCS1
  • 意識障害又は昏睡:JCS2
  • 意識障害又は昏睡:JCS3
  • 意識障害又は昏睡:JCS10
  • 意識障害又は昏睡:JCS20
  • 意識障害又は昏睡:JCS30
  • 意識障害又は昏睡:JCS100
  • 意識障害又は昏睡:JCS200
  • 意識障害又は昏睡:JCS300

JCS:0【意識清明】の状態である患者でも請求が行われていて、状態によっては査定が行われていました。

なので今回の改定で、そういった請求はなくなり、適正な請求が行われるようになると思います。

「ウ」心不全、呼吸不全の摘要記載

  • 心不全:NYHA1
  • 心不全:NYHA2
  • 心不全:NYHA3
  • 心不全:NYHA4
  • 呼吸不全:P/F比300以上400未満
  • 呼吸不全:P/F比200以上300未満
  • 呼吸不全:P/F比200未満

「オ」ショックの摘要記載

  • ショック:平均血圧70mmHg以上
  • ショック:平均血圧70mmHg未満
  • ショック:昇圧剤利用なし
  • ショック:昇圧剤利用あり

「カ」代謝障害の摘要記載

  • 肝不全:AST値 ****
  • 肝不全:ALT値 ****
  • 腎不全:eGFR値 ****
  • 重症糖尿病:JSD値 ****
  • 重症糖尿病:NGSP値 ****
  • 重症糖尿病:随時血糖値 ****
  • その他…具体的な状態 ****

検査値を記載することとなっている「カ」の項目については、特に算定注意です。その値が重症な状態に該当するのかをきちんと意識して算定を行ってください。

こあざらし
この数値によっては査定となることが考えられます。

「キ」広範囲熱傷の摘要記載

  • 広範囲熱傷:Burn Index 9以上
  • 広範囲熱傷:Burn Index 4以上9未満
  • 広範囲熱傷:Burn Index 4未満
  • 広範囲熱傷:気道熱傷なし
  • 広範囲熱傷:気道熱傷あり

これらのコードを使い、請求を行っていくもののようですが、個々のケースによって、重症とされる具体的な根拠も書き足した方が良い場合もあると思います。

入院時の診療内容が出来高で表示されるレセプトにおいては、完全に中身が丸見えなので、その請求の中身によっては重症なのか?と疑義が生じるものも中にはあるかもしれません。

それでも救急医療管理加算2ではなく、1として請求したいのであれば状態補足をした方が良い場合もありますので、点検時に意識してみてください。

救急医療管理加算1の摘要記載「主要な診療行為」

当該重症な状態に対して、入院後3日以内に実施した検査、画像診断、処置又は手術のうち主要なものについて、「電子情報処理組織の使用による費用の請求に関して厚生労働大臣が定める事項及び方式並びに光ディスク等を用いた費用の請求に関して厚生労働大臣が定める事項、方式及び規格について」(平成 30年4月27日保発0428第10号)(本通知が改正された場合は、改正後の通知によること。)の別添5に掲げる医科診療行為コードを記載すること。

入院後3日以内に実施した主要な診療行為(救急医療管理加算1); ******(医科診療行為コード)

DPCみたいになりましたね(笑)

入院後3日以内もっとも力を入れた診療行為。

確かに、この主要な診療行為と重症な状態の摘要記載を絶対化したことにより、以前より審査がしやすくなっていますね。

つまり、この診療行為も算定可否の鍵を握っている感じ。

こあざらし
ここの診療行為がショボかったら、救急医療管理加算2に査定になる可能性も。

救急医療管理加算1の摘要記載「算定開始の入院年月日」

(当該加算を算定した入院年月日と「入院年月日」の項の入院年月日が異なる場合) 当該加算を算定した入院年月日を記載すること。

救急医療管理加算を算定した入院年月日;(元号)yy”年”mm”月”dd”日”

入院年月日起算で7日間ということが厳格化されてますね。

入院年月日から起算して7日分しか算定出来ないということ。

レセプトに表示されている入院年月日以外が算定開始日となる場合は算定開始となる入院年月日を摘要記載することとされました。

起算月を通算する再入院、通算しない患者。他法からの移行など。

この起算月が明らかになることで審査が円滑化されそうです。

起算月を通算する再入院での算定は査定対象となることが予想されますので、再入院での算定の場合は一連入院か新しい起算の入院なのか判断して、算定するのであれば書き忘れがないようにしたいですね。

こあざらし
算定開始日を意識して算定するようにしましょう。

救急医療管理加算2の摘要記載「コ」の新設

「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」別添1第1章第2部A205救急医療管理加算の(2)のアからケまでに準ずる状態又はコの状態のうち該当するものを選択して記載すること。ま た、(2)のイ、ウ、オ、カ(肝不全、腎不全又は重症糖尿病のものに限る。)又はキの状態に該当する場合は、それぞれの入院時の状態に係る指標を記載し、(2)のカに該当する場合であって、肝不全、腎不全、重 症糖尿病以外のものについては、具体的な状態を記載すること。また、(2)のコに該当する場合はその医学的根拠を記載すること。

コ その他の重症な状態の医学的根拠(救急医療管理加算2);

救急医療管理加算2

救急医療管理加算2については、救急医療管理加算1のアからケまでに準ずる状態又はコの状態のうち該当するものが対象となります。

摘要記載の方法もほぼ救急医療管理加算1と同じです。

準ずる状態の判断がまだ曖昧ですよね。ここもどうにかして欲しい。

一つの判断基準として、入院日における診療内容を特に確認してみてください。

救医は、入院時が重症な状態でありさえすれば、途中で軽快となっても7日までは算定出来ますから。

特に注射、処置や手術などなく、非侵襲的な検査しかされてないという人はいませんか。

内容にもよりますが救医2と判断される場合、あるいはそれすら算定出来ないという判断が考えられます。

こあざらし
レセプト上に重症度が見えてこない患者であればなるべく具体的な重症根拠を示したほうが良いかな。簡単な説明で済ませず。

さいごに

算定時に注意すること

  • 「ア」〜「ケ(コ)」のどの項目の算定要件を満たしているか
  • 検査数値は重篤に該当するものか
  • 入院日における診療内容が重症な患者と分かるものか
  • 起算日から7日間の算定となっているか

算定時に注意することは、どの項目の算定要件を満たしているかを意識すること、その時点で算定の可否振り分けを行うことです。

検査数値を書くようなものでは、その数値が重篤と判断できる数値なのかを意識した上で記載と請求をしなければなりません。

救医2「コ」という項目の新設、入院後3日以内に実施された主要な診療行為と言った部分では、特に幅広い要素が考えられるため、あまりに重症度がうかがえない内容であると請求が認められない可能性がありそうなので個々症例で検討が必要です。

レセプトの入院年月日と加算を算定した入院年月日が異なる場合は摘要記載が必要となっています。

これにより、入院してから起算して7日という部分もより明確化されておりレセプト審査側が審査しやすくなっています。記載年月日から7日分の算定を超えたものは査定にするはずです。

そこも意識して算定しなければなりません。

こあざらし
今回は摘要記載が強化された感じで、算定自体の方法は従来とさほど変わらないものです。
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この記事を書いた人

医療事務(診療所・病院)、レセプト審査(保険者)、医科歯科事務経験、介護事務経験あり。ブログは、査定事例の解釈・レセプト実務に必要な知識を重点的に更新♪

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