レセプトで保存血液輸血の算定が査定される理由(血液製剤関連)

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こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。

保存血液輸血の算定は輸血量の解釈で算定間違いが起こりやすいです。実際に使用した血液製剤と輸血の手技料を算定するための量は異なる場合があります。

今回は算定する際に間違いが起こりやすく、また査定になってしまう部分について書きたいと思います。


目次

保存血液輸血

保存血液製剤を使って輸血を行います。(他人の血から生成されたものです)

単位数ですが、血液製剤によって1単位の容量が異なります。算定の際には、それぞれの単位数に注意して請求を行わなければなりません。症状詳記に単位での使用数記載があるものもありますが、医療事務員はそれを確認して適正な製剤点数を選ぶ必要があります。

製剤の容量と保存輸血の手技料のmLは必ずしもイコールではないことを知っておきましょう。詳記では略称が使われることが多いのでそれぞれに書き出しておきました。保存血輸血として算定されるのは赤血球と血小板のみです。

にゃこ
う、ちょっと算定不安…。
こあざらし
赤血球製剤がちょっと特殊だから、そこさえ覚えちゃえばあとは単純だよ。

赤血球濃厚液(照射赤血球)

略称 MAP,RCC,RBC
1単位 140mL

保存血輸血の算定該当量

  • 使用製剤400mL(2単位)→手技算定は280mL
  • 使用製剤200mL(1単位)→手技算定は140mL

レセ点検していてよく見かける間違いですが、400mLの赤血球濃厚液を1袋使用しており、その手技料の算定を400mLとして請求されてるというものです。

保存血液輸血の注入量は、1日における保存血及び血液成分製剤(自家製造したものを除く。)の実際に注入した総量又は原材料として用いた血液の総量のうちいずれか少ない量により算定する。(輸血の通知より)

400mLの製剤から生成されますが、実際に注入される成分量は280mLとなります。よって、保存血液輸血として算定するのは280mLとなります。赤血球の輸血手技料を算定する際には1単位140mLと覚えておくといいです。製剤は200mLとして算定を行いますが、保存血輸血の手技料は140mLとして行います。

こあざらし
通知にごちゃごちゃと書いてて分かりにくいですが、赤血球は1単位140mLが絶対です。これさえ覚えておけば十分。

血小板濃厚液

略称 PC
1単位 20mL

 

保存血輸血の算定該当量

  • 使用製剤200mL(10単位)→手技算定は200mL

血小板は赤血球と異なり、使用製剤の容量のまま手技料の算定ができます。ただし、1袋の容量について単位数の把握ができていないために算定誤りを時々見かけます。

1袋200mL(10単位)のものが使われている症例がほとんどだと思います。ゆえに、稀に小児への使用があったりすると2単位~3単位の使用との詳記記載があるにもかかわらず、この1袋200mLのものを算定していたりするのです。一応、1単位20mLという容量の規格製剤が存在する以上、製剤の残量破棄という見方はありません。この場合、7~8単位分の請求は過剰とみなされ査定となりますので要注意です。

こあざらし
血液製剤はとても高額ですので、請求間違いは病院に大きな損失を生みます。注意して算定するように心がけましょう。

新鮮凍結血漿

略称 FFP
1単位 120mL

保存血輸血の算定該当量

  • 手技算定なし

血漿成分製剤(新鮮液状血漿、新鮮凍結血漿等)は注射の部において取り扱われることとなっています。よって、輸血・手術(50番区分)の算定には入りません。ただし、手術時に使用されると、手術薬剤の中に入りますので50番区分で算定されます。手術時薬剤として50番区分で算定することは問題ありませんが、この時に輸血として認識されがちです。保存血輸血の手技料の容量には換算しないように気をつけましょう。

あと気をつけたいのはDPCの時ですね。注射の部で算定するという製剤ですので、手術時使用でないものは50番区分での請求は出来ません。DPCでは包括となる薬剤です。輸血薬剤として算定してしまっていると術日以外でもレセプトに出来高で請求されてしまいます。算定日が術日であるかどうかをしっかりと日計表で確認するようにしましょう。

輸血製剤が査定される

赤血球や血小板などの輸血製剤が査定されてるときに、症状詳記の単位数にも誤りがないという場合はどのように解釈すればいいのか…。

その場合は、医学的判断がなされたものである可能性が高いですね。もはや、素人が判断できる領域ではなく専門家であるお医者さんが査定の判断をしているものと考えます。

審査医師の裁量となりますので解釈が難しい部分ですが、輸血ガイドラインなどを一度確認してみてはいかがでしょうか。

ガイドラインにそぐわないという部分で査定になっているケースもあります。

血小板製剤が査定になるケース

一般的に1回の輸血で血小板10単位ずつで行う場合が多いと思います。

レセプトで気をつけて確認しておいてもらいたいのは、血小板数値(PLT)ですね。

この数値が3万を超える数値の患者に対して投与を行っている場合、病名によっては過剰と判断され、査定になっているようです。

また、末期腎不全による貧血など…。

こあざらし
大量化学療法後や自家末梢血幹細胞移植後などは数日間投与していても認められています。
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この記事を書いた人

医療事務(診療所・病院)、レセプト審査(保険者)、医科歯科事務経験、介護事務経験あり。ブログは、査定事例の解釈・レセプト実務に必要な知識を重点的に更新♪

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