自家骨移植は2回算定可能?骨移植術のレセプト算定方法まとめ

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こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。

今回は、読者の方からいただいたリクエストでK059骨移植術の算定解釈をテーマに記事を書こうと思います。

目次

骨移植術の適応

適応は、骨欠損部の補填、人工関節置換術、真珠性中耳炎における乳突腔充填など、実に様々。

特に線引きはないため、算定出来るかどうかは症例ごとに判断しなければなりません。

一般的にあまり骨移植術を併用しない術式、つまり、稀な手術症例に関しては、しっかりと詳記を添付して請求することを推奨します。

骨移植術の種類で分かれる算定

骨移植術は大きく分類して

  • 自家骨移植
  • 同種骨移植(生体)
  • 同種骨移植(非生体)
  • 自家培養軟骨移植

のような塊に分けられています。

難しく書かれていますが、中身を知ってみると意外と簡単です。

こあざらし
なので、上記4項目をわかりやすく置き換えてみます。

自家骨移植→自分の骨を使った骨移植

同種骨移植(生体)→他人(生きてる人)の骨を使った骨移植

同種骨移植(非生体)→ 他人(死亡診断を受けた人)の骨を使った骨移植

自家培養軟骨移植→自分の軟骨細胞を培養し、その骨を使った骨移植

このようになります。

こあざらし
まずは、この4つの種類は把握してください。

自家骨移植

自分の骨を使い骨移植を行った場合に算定します。

通知から、いくつかの算定例を書き出してみました。

自家軟骨

通知(4) 自家軟骨の移植を行った場合は、「1」により算定する。

通知通りです。自分の軟骨を使った骨移植術であれば、「1 」自家骨移植 16,830点で算定することになります。

腸骨移植

頻繁に目にするのは、やはり、腸骨移植(海面骨)ですよね。なので、他にも自家骨は多々ありますが、代表例として挙げておきます。

「1 」自家骨移植 16,830点で算定することになります。

人工骨や内固定材料なしの骨移植

レセプトを見た時に、人工骨もなく内固定材料の算定がない患者については、基本的には自家骨移植のみ行ったと判断されます。

通例的に自家骨での手術が多いからです。

そのため算定は 「1 」自家骨移植 16,830点 で行うこととなります。

こあざらし
もしも、他の骨移植術に該当する例であれば、詳記や摘要記載はあった方が安心です。

同種骨移植

同種骨移植には生体と非生体の2つがあります。

同種骨移植(生体)とは、整形外科手術時に摘出された余剰骨(他人&生きてる人のもの)を使った骨移植です。

同種骨移植(非生体)とは、心停止や脳死と診断された患者さんの体から採取された比較的大きな骨を使った骨移植です。

お亡くなりになられた方からは、生きてる方よりも広範囲に採骨することができますので大きな骨をいただくことが可能なようですね。

同種骨移植

骨バンクから提供の冷凍保存骨を使うことが多いようです。生体、非生体の区別はレセプト書面上では判断が出来ないため、その部分で査定になることはないと思います。

しかし、余剰骨か大きな骨塊かという部分に注目してみれば、骨欠損の大きさには注意した方がいいかもしれません。

骨欠損部位が小さいと予想される症例に大きな骨塊を算定しているとしたら、もしかすると審査に疑義が生じる可能性があります。

自家骨or同種骨と人工骨の併用移植

通知(7) 自家骨又は非生体同種骨(凍結保存された死体骨を含む。)移植に加え、人工骨移植を併せて行った場合は「3」により算定する。ただし、人工骨移植のみを行った場合は算定できない。

自家骨移植or同種骨移植と人工骨の使用をして骨移植を行った場合には、「3」(ロ) 同種骨移植(非生体) (その他の場合) 21,050点の算定が出来ます。

同種骨移植の通知(7)で、いきなり自家骨移植の話題が出て来るので混乱される方もいるかもしれませんね。

こあざらし
この通知は人工骨との併用についてを示しているものです。

自家骨移植と人工骨移植の併用はこの区分で準用するということで解釈しておけば簡単だと思います。

あと、この際の人工骨を使う場所とは採骨部位なのか、それとも自家骨を移植する骨欠損部位なのかが疑問って人も多いかもしれませんね。

採骨部位、骨欠損移植部位のどちらかに使用があれば算定出来ると解されているケースが多いと思います。

こあざらし
たまに、採骨部位への人工骨の使用は対象外と判断してるものも見たことはありますが。

骨移植に関しては採骨から移植までを一連に評価された点数です。

他医療機関で採骨したものにしても、移植の一連とされ合議精算となっているくらいですから。

通知を見ても、特に移植部位の指定はされておらず、査定される理由としては弱いと感じます。

査定になった場合は再審査を申し出てみてもいいのではないでしょうか。

同種骨の使用であれば、併用とは術部のみと考えることができますが、自家骨であれば採骨した部位かもしれませんし、移植部位かもしれません。

このどちらも骨移植術として評価を受けているものになりますので、人工骨移植部位に関わらず、この点数区分での算定が可能と思います。

こあざらし
ただし、移植術に全く関わらない部位での人工骨は併用としては認められませんので、その部分の判別はしっかりとしておきましょう。

同一術部より採骨の自家骨を移植(局所骨含む)

採骨した骨に手を加え形成し直したり、何らかの処理がされていれば自家骨移植術として算定可能です。

また、人工骨と併用して移植さえしていれば、同種骨(非生体)区分とみなすことができ、骨移植術の同種骨(非生体)(その他のもの)として請求することができます。

Q.区分番号K 059骨移植術について、「人工骨の移植を行った場合は、本区分の「3」により算定する。」とあるが、人工骨を用いる手術が行われた場合は、すべて「3」により算定できるのか。
A.人工骨の移植のみを行った場合は算定できない。あくまで、自家骨移植又は同種骨移植が行われた場合であって、さらに特定保険医療材料078の人工骨が移植された場合に限り、「3」を算定する。  (平成20年7月10日事務連絡)

疑義解釈でも、自家骨移植と人工骨移植が併用されていればいいという解釈になっています。

椎弓手術の際に局所骨を使い、骨移植術を行うというのが多い症例ですね。

この算定は全国で見ても一般的な症例となっており、算定も認められています。

こあざらし
自家骨だけであれば自家骨移植で、人工骨との併用であれば同種骨(非生体)(その他のもの)で算定します。

同種骨移植(特殊なもの)

通知(8) 同種骨移植(特殊なもの)は、腫瘍、感染、人工関節置換等に係る広範囲の骨及び靱帯組織の欠損に対して、日本組織移植学会が認定した組織バンクにおいて適切に採取、加工及び保存された非生体の同種骨及び靱帯組織を使用した場合に限り算定できる。なお、この場合、骨移植等を行った保険医療機関と骨移植等に用いた同種骨等を採取等した保険医療機関とが異なる場合の診療報酬の請求については、同種骨移植等を行った保険医療機関で行うものとし、当該診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

通知(8)より、同種骨移植(非生体)(特殊なもの) 39,720点

医療機関が違う場合にそれぞれ算定していると査定対象になってしまうと思うので気をつけましょう。

採取から移植までを一連として評価したものが骨移植術であるため、採取した医療機関と移植した医療機関がバラバラだったとしてもそれぞれで算定することはできません

自家培養軟骨移植術

通知(9) 自家培養軟骨を患者自身に移植した場合は、「4」により算定する。

自分の軟骨細胞を培養して、その骨を使い骨欠損を補充した場合に算定します。

骨採取のみで移植に至らなかった場合

通知(3) 移植用骨採取のみに終わり骨移植に至らない場合については、区分番号「K126」脊椎、骨盤骨(軟骨)組織採取術(試験切除によるもの)に準じて算定する。

通知の通りですね。

複数か所への骨移植

通知(2) 移植用に採取した健骨を複数か所に移植した場合であっても、1回のみ算定する。

一度(1箇所)の採取につき、1回の算定と覚えておくと分かり易いと思います。

2回法の骨移植術はそれぞれ算定可能か?

2回法が医学的に必要性が認められている症例に関して(例えば椎弓・椎体手術など)は、それぞれの手術に対してそれぞれ骨移植術の算定が可能と解されます。

1週間以内の同部位再手術であったりする場合は、理由によると思います。

2回に分けて行うことの妥当性があるような再手術であれば、各々算定可能と解されますが、一連と考えてもいいような再手術に付随するものであれば算定が難しい場合があるため、気をつけましょう。

前からの手術、後ろからの手術というように体位を変えて別日に行われる長時間の手術は、侵襲のことを考え、別日に行われることが多いです。

こあざらし
この場合、2回に分けて行うことは認められている傾向であるため、それぞれ椎体手術と骨移植術を2回とも算定することが認められています。

さいごに

今日は、骨移植術の算定時の疑問をまとめてみました。

書き方が難しくて、ちょっと敬遠しがちなんですが、紐解いてみると意外にシンプルなんです。

次の記事では骨移植術の査定事例についてまとめます。

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この記事を書いた人

医療事務(診療所・病院)、レセプト審査(保険者)、医科歯科事務経験、介護事務経験あり。ブログは、査定事例の解釈・レセプト実務に必要な知識を重点的に更新♪

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