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レセプトでデブリードマン(50.手術)の算定が査定になる理由
こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。
デブリードマンの査定はパターンが決まっているので、その部分を注意すれば防げます。
レセプトでデブリードマン(50.手術)の算定が査定になる理由
連月同部位に対する算定
注1 熱傷により全身の20パーセント以上に植皮を行う場合においては、5回に限り算定する。
注2 注1の場合を除き、当初の1回に限り算定する。
注1より、熱傷で20%以上植皮する以外の病名では、初回の1回しか算定が出来ないという解釈になります。
熱傷以外の病名だけで同部位に対して連月算定を行っている場合は査定対象となるようです。
例えば、単なる難治性皮膚潰瘍病名で請求を行っている場合、2回目以降は創傷処置等へ査定となる可能性があります。
繰り返しデブリードマンを行なった場合の算定は熱傷以外できないのか?
通知を確認してみると、
通知(3) 汚染された挫創に対して行われるブラッシング又は汚染組織の切除等であって、通常麻酔下で行われる程度のものを行ったときに算定する。また、繰り返し算定する場合は、植皮の範囲(全身に占める割合)を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。
とあるため、繰り返しの算定をすることも可能と解します。
なぜ繰り返してする必要性があったのか?
範囲が広いからなのか?
前回処理した部位とは別の部位への処理なのか?
その理由が伝われば、むげに査定されることはないと思います。
査定されたとしたなら、医学的に必要性がないものと判断されたことになりますね。
1回の植皮術に対して、デブリードマン1回という形についても特に請求上問題ないと思います。
特殊な例ですが、壊死性筋膜炎といった病名では繰り返し処置が必要な重症状態です。
創部の掻爬目的
通知(1) 区分番号「K013」分層植皮術から区分番号「K021-2」粘膜弁手術までの手術を前提に行う場合にのみ算定する。
通知より、植皮前提の患者が算定要件を満たします。
つまり、これらの手術の実施が縦覧審査され、当月あるいは翌月以降に見られない場合、査定となることがあります。
それはこの通知からの解釈で判断されたものです。
縦覧審査で植皮手術がない場合、また、植皮予定コメントなしで請求を行うと査定される傾向です。
予定している術式が分かるのであれば「○○術実施予定」と必ず摘要記載を入れる方がいいと思います。
また、術式が分からない場合であっても、植皮か移植をする人が算定対象となる術式であるため、何らかの形で「植皮術実施予定」など漠然とでも示す方が査定防止になります。
デブリードマン後、通知以外の手術をしている
通知(1) 区分番号「K013」分層植皮術から区分番号「K021-2」粘膜弁手術までの手術を前提に行う場合にのみ算定する。
デブリードマン後、四肢切断術などの算定になっている患者で査定されているケースがあります。
これは、通知に規定されている術式に該当しないため、算定要件を満たさないと判断されたものです。
もしも当初は植皮予定があったものが状態の変化があり、急遽術式が変更となったという流れであるならば、その旨を詳記記載することが望ましいです。
創傷処理に対するものは加算
創傷処理とともにデブリードマンを算定していませんか?
その場合、創傷処理への加算項目であるデブリードマン加算と判断されてしまいます。
デブリードマン(100㎠未満)がデブリードマン加算へ査定となりますので、創傷処理との併算定には気をつけましょう。
植皮予定があれば、加算の間違いとして判断はされにくいです。
病名
デブリードマンが必要な汚染組織を持つ患者だと分かるようなレセプト病名がない患者では査定されます。
皮膚の病名があれば良いのかなと思うこともあるかもしれません。
高頻度でデブリードマンをされるような病名であれば医学的見地から読み取ってもらえることもありますが。
複数手術の併算定
他の手術と併算定していませんか?
同じ部位に対して複数手術を実施している場合は、複数手術の特例一覧に該当しない限りは、主たる手術になります。
通常麻酔下で行われる程度のもの
通知(3) 汚染された挫創に対して行われるブラッシング又は汚染組織の切除等であって、通常麻酔下で行われる程度のものを行ったときに算定する。また、繰り返し算定する場合は、植皮の範囲(全身に占める割合)を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。
通知より、通常麻酔下で行われる程度のものを行ったときに算定するという部分に注目します。
つまり、麻酔の手技料や麻酔薬剤の算定が無い患者については査定となる場合があるということです。
現にこれを理由として査定となっているものもありますね。
デブリードマンをしているうちに治癒して植皮術の必要性がなくなった場合は?
保存的治療をしているうちに治癒して状態が緩和され、結果として植皮術の必要性がなくなってしまったという場合は算定要件を満たさない状態になります。
その場合、算定はできなくなるのでしょうか?
結果として、「通知(1) 区分番号「K013」分層植皮術から区分番号「K021-2」粘膜弁手術までの手術を前提に行う場合にのみ算定する。」を満たさない形であるため、返戻して取り下げなければならないのでしょうか。
きっとこういうパターンに出会って迷うことがあると思います。
この場合、取り下げる必要性はありません。
デブリードマンを実施した時点で植皮予定であれば良いのです。
なので、デブリードマン時点で植皮予定であることは絶対ですが、その後、状態が軽快したとしても、遡ってまでその請求は変更しなくても大丈夫です。
複数箇所でそれぞれ算定が可能か?
複数算定が可能かどうかということですが、まずは通知を確認しましょう。
通知(2) 面積の算定方法については、区分番号「J000」創傷処置の取扱いの例による。
創傷処置を参考にする取扱いになっています。
創傷処置の通知(2) 同一疾病又はこれに起因する病変に対して創傷処置、皮膚科軟膏処置又は湿布処置が行われた場合は、それぞれの部位の処置面積を合算し、その合算した広さを、いずれかの処置に係る区分に照らして算定するものとし、併せて算定できない。
創傷処置の通知(6) 複数の部位の手術後の創傷処置については、それぞれの部位の処置面積を合算し、その合算した広さに該当する点数により算定する。
通知より、同一疾病又はこれに起因する病変であれば合算して請求することとなっています。
別疾患によるものや近接部位でなければ複数箇所も各々算定可能と解されます。
さいごに
デブリードマンはデブリードマン加算と混同してしまうことがあるようです。
独立した手術か、創傷処理の加算なのか間違えないようにしなければなりません。
また、縦覧審査で植皮手術の有無は確認されます。
その部分をしっかり押さえておけば査定を防げると思います。