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歯科レセプト|抜歯手術の保険算定で注意したい箇所
長期入院から短期入院まで歯科入院患者の会計を担当していましたので、その時に気をつけていたことやよく見る病名などを併せてお伝え出来たらと思います。
今日は抜歯の算定について書こうと思います。
病名を注意深く見て、分類する必要があります。適正な分類で算定出来るように、病名例を挙げておきました。
乳歯抜歯、前歯抜歯手術、臼歯抜歯手術
保存不可能と判断された歯を抜く手術で、普通抜歯と言われるものです。乳歯か前歯か臼歯かという部分で点数が変わってきます。埋伏や骨癒着など特殊な状態にない抜歯が該当です。
歯式+病名
- Per
- C4
- 残根
- 晩期残存(乳歯)
- 歯牙破折
- 歯の脱臼
- 過剰歯
- Perico など
Pericoは親知らずの病名で、しれっと埋伏歯で算定してしまいがちです。埋伏状態でない場合は、親知らずであろうと臼歯抜歯の算定となります。
難抜歯手術
骨開削や歯根分離などが必要な抜歯手術です。単に、抜くのに全身管理を要したとか、時間がかかったとか、とても頑張りました等々、残念ながらそういったものは算定対象とはなりません。
病名もしくは摘要の記載にて骨開削が必要な手術だったことが分かる記載をしておかなければなりません。半埋伏歯が適応とされるのは、骨開削などの処理を行う必要があるものに限ります。
歯式+病名や摘要記載
- 歯根肥大
- 骨癒着
- 半埋伏
- 根弯曲
- 骨開削抜歯 など
半埋伏歯病名で埋伏歯抜歯の算定は取れません。難抜歯での算定となりますのでご注意ください。
ヘミセクション分割抜歯
1本の歯を分割して、保存可能な根を残し、保存不可能となった根だけを抜歯する術式です。請求する際にはM根なのかD根なのか抜歯根が分かるように記載しなければなりません。
歯冠修復を算定する際には、小臼歯となるか大臼歯となるか残っている根の本数によって変わって来ます。
歯式+病名
Per(抜歯する側の根)
埋伏歯抜歯手術
骨性の完全埋伏歯又は歯冠部が3分の2以上の骨性埋伏である水平埋伏智歯の抜歯はこの項目で算定することになります。
歯式+病名
- 埋伏歯
- 完全埋伏歯
- 過剰埋伏歯
- 水平埋伏智歯
- 埋伏智歯 など
下顎完全埋伏智歯(骨性)又は下顎水平埋伏智歯
病名に注意が必要です。当然ですが上顎に関しては算定出来ません。似ているようですが、「下顎水平智歯」についても算定出来ません。下顎完全埋伏智歯か下顎水平埋伏智歯のみ適応です。結構、上顎で取っちゃってるパターンが多いんですよね。レセ点検する時に気をつけて見ると良いと思います。
過剰歯の取扱い
過剰歯については、乳歯であれば乳歯抜歯、前歯であれば前歯、臼歯であれば臼歯として算定するようになります。おそらく[歯式]部過剰歯や正中過剰歯、右側臼歯部過剰歯などという表記になると思います。
もし半埋伏していれば難抜歯としての算定も可能ですし、埋伏歯であれば埋伏歯抜歯としての算定が出来ます。きちんと、その歯がその状態にあることがレセプトにおいて分かるように請求を行ってください。
正中過剰埋伏歯などは2本あることも多いので算定をよく見かけましたが、レセプトの病名だけだと「正中過剰埋伏歯」となります。これじゃぁ、何本あるかなんて判断出来ませんよね。審査する側も同じふうに思いますから、査定されてしまうことがあります。
この場合は摘要記載にて正中過剰埋伏歯が2本ある旨を記載して下さい。抜歯手術のみに関しては同一術野ということにはなりませんので、歯ごとに算定が可能です。
あと、上顎か下顎かも分かるような病名にしておく必要があります。場合によっては返戻されます。
抜歯中止の取扱い
完全抜歯が困難となりやむを得ず抜歯を中止した場合。難抜歯に該当する抜歯術の実施中であれば難抜歯として、埋伏歯に該当する抜歯術の実施中の中止であれば埋伏歯抜歯の手術を算定することが出来ます。ただし、レセプトにはやむをえず手術を中止した旨の摘要・注釈の記載が必要です。
さいごに
抜歯手術でレセ点検をすると、難抜歯や埋伏歯でとれるものを普通抜歯でとっていたり、その逆のパターンがあったり。算定間違いが起こりやすい場所なんだと思います。それぞれの抜歯点数の特徴に該当するものを適正に算定できるように気をつけたいですね。