レセプトで耐糖能精密検査の算定が査定になる理由

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こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。

こあざらし
今日は、耐糖能精密検査の査定について分析したいと思います。
目次

ブドウ糖負荷試験(常用負荷試験)とは?

こあざらし
まずは、常用負荷試験のお話。

人間は食事をすることにより、体内の血糖値が上がります。健康な人の場合、インスリン分泌が行われ血糖値を正常な値に保つ機能が働きます。

ブドウ糖負荷試験は、空腹時血糖値とブドウ糖負荷試験(75gOGTT)2時間経過値の結果を組み合わせて比較し、その機能の働きが、正常型・境界型・糖尿病型かを診断する検査です。

耐糖能精密検査とは?

こあざらし
常用負荷試験がどんなものか分かったところで、次は耐糖能精密のお話。

耐糖能精密検査とは、

  • 常用負荷試験及び血中インスリン測定を行った場合
  • 常用負荷試験及び血中C-ペプチド測定を行った場合
  • (耐糖能精密検査を準用)グルカゴン負荷試験をした場合

これらの測定を行った場合の検査のことです。

レセプトで耐糖能精密検査の算定が査定になる理由

疑い病名が古い

原則として、「糖尿病疑い」の初診月に耐糖能精密検査(糖負荷試験)は認められる。

血糖値、HbA1Cの数値により強く糖尿病が疑われる場合、負荷時におけるインスリン又はCペプチドの測定は、糖尿病の診断だけでなく、インスリン分泌能、インスリン初期分泌の低下、インスリン抵抗性等を同時に把握でき、病型・病態の診断や治療法の選択上必要である。

社会保険診療報酬支払基金(審査情報提供事例)

疑い病名が認められるのは初診月のみとなっています。

初診料を算定する月という意味よりは、その病名がレセプトに現れてくるのが初回という解釈のほうが強いです。

初めてその疾患がレセプト上に現れた月であれば、疑い病名でも構いませんが、それ以降は原則認めないと解し、疑い病名が古い月のものであるレセプトでは査定されることがあります。

ただし、疑い病名が付いてから1度も耐糖能精密検査を行っていないというような症例では比較的算定が認められているように思われます。

こあざらし
査定された場合は縦覧で確認してみて、初めての検査だということを注記して再度審査をお願いしてみても良いかもしれません。

糖尿病確定患者

原則として、「糖尿病疑い」の初診月に耐糖能精密検査(糖負荷試験)は認められる。

社会保険診療報酬支払基金(審査情報提供事例)

支払基金の審査情報提供事例から、「糖尿病疑いで行う初診月だけが認められる」という解釈も存在します。

つまり、疑い病名から確定病名に切り替わりがありうる糖尿病診断確定月を除き、それ以外の月で糖尿病確定患者に対しての算定は認められないと解します。

しかし、耐糖能精密検査は、糖尿病診断のみでなく、インスリン分泌能やインスリン抵抗性なども測れるものとされていますので、糖尿病確定患者であっても、耐糖能異常やインスリン異常症が新たに疑われる場合や疾患では算定可能となる考えです。

こあざらし
糖尿病確定患者でも、インスリンによる治療を行っていなければ年1回程度は認められていると思います。

境界型糖尿病のみ、低血糖病名のみ

この病名のみの場合、査定になることがあります。

他に検査なく、いきなり耐糖能精密検査をしている場合です。

こあざらし
他の検査で十分だという判断をされるのだと思いますが、どうしてもこの検査が必要だった理由を詳記添付した方がいいと思います。

連月

過剰ということで査定される傾向にあります。

妊婦急性期で頻繁なモニタリングが必要だという特殊な状況でなければ、査定になると思います。

負荷薬剤なし

負荷薬剤を使用して行う検査であるため、レセプトで見たときに負荷薬剤の算定がない場合、検査自体が査定されてしまいます。

負荷薬剤の算定漏れが無いように気をつけましょう。

こあざらし
また、低点数でレセプトには現れないといった場合は一言注記をつけておくと査定防止につながります。

妊娠糖尿病

妊娠糖尿病(GDM)は通常の糖尿病とは異なり、妊娠中に見つかる糖尿病のことです。妊娠中に分泌されるホルモンの影響で、一時的に糖代謝異常が起こるもので、出産後には正常値に戻ります。

出産後も異常が続く場合があるので慎重に経過観察が必要なものです。

妊娠前から糖尿病であることが診断されている場合は、糖尿病合併妊娠という病名になりますので、別のものとして認識しましょう。

こあざらし
妊娠糖尿病の診断は、血糖が高値の場合にブドウ糖負荷試験(75gOGTT)を行い診断します。

常用負荷で診断が出来る疾患のようです。

そのため、疑い病名に対して耐糖能精密検査までは過剰と判断される場合があります。

ですが実際は、常用負荷程度の検査で診断可能とされる見方と、潜在的な糖尿病かを精査するためにも耐糖能精密まで妥当と考える見方と2つ存在しています。

妊娠糖尿病の診断のために行う検査は常用負荷試験にまで査定される可能性がありますので査定傾向のある場合は詳記を添付したほうがいいと思います。

こあざらし
妊娠糖尿病という病名でなくても、妊婦と分かる病名(切迫早産など)+妊娠期間中の糖尿病疑いも同じなので、気にしてみてください。

耐糖能精密とIRI、CPRの併算定

  • 常用負荷試験(血糖及び尿糖検査を含む。)
  • 耐糖能精密検査(常用負荷試験及び血中インスリン測定又は常用負荷試験及び血中C-ペプチド測定を行った場合)

 注射、採血及び検体測定の費用は、採血回数及び測定回数にかかわらず所定点数に含まれるものとする。

通知(1) 負荷の前後に係る血中又は尿中のホルモン等測定に際しては、測定回数、測定間隔等にかかわらず、一連のものとして扱い、当該負荷試験の項により算定するものであり、検体検査実施料における生化学的検査(Ⅰ)又は生化学的検査(Ⅱ)の項では算定できない。

通知(2) 「2」の耐糖能精密検査(常用負荷試験及び血中インスリン測定又は常用負荷試験及び血中C-ペプチド測定を行った場合)は、常用負荷試験及び負荷前後の血中インスリン測定又は血中C-ペプチド測定を行った場合に算定する。

耐糖能精密検査は

  • 常用負荷試験+血中インスリン測定
  • 常用負荷試験+血中C-ペプチド測定

という内訳になってますので…

こあざらし
耐糖能精密検査の点数の中にはIRIやCPRの算定が含まれると解します。

同日実施の検査、中には同月の検査においても「負荷前後の検査は含まれる」という通知より、別に算定できないものとなるようです。

疑い病名患者への実施

耐糖能精密検査自体は診断のために行うものという認識ですが、中に含まれているCPRとIRIは糖尿病確定後に行う検査です。

そのため、糖尿病の疑い病名患者へ実施した場合、CPRやIRIの併施は認められず、常用負荷のみの算定に振り替え査定となることがあります。

耐糖能精密と併算定不可と考えられるもの

同日の常用負荷、グルコース、糖試験、注射手技などの負荷検査にかかわるものは併算定ができないものとして審査されていますので、レセプトで確認してみてください。

さいごに

今回は耐糖能精密検査の査定について分析してみました。

糖尿病患者に実施される例が多いと思いますので、気をつけてみていきたいですね。

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この記事を書いた人

医療事務(診療所・病院)、レセプト審査(保険者)、医科歯科事務経験、介護事務経験あり。ブログは、査定事例の解釈・レセプト実務に必要な知識を重点的に更新♪

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