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レセプトで病理標本作製(T-M)1臓器の数え方、査定傾向について
こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。
一般的な臓器数の数え方
病理標本作製に当たって、3臓器以上の標本作製を行った場合は、3臓器を限度として算定する。 (病理標本作製の通則より)
「1」の「組織切片によるもの」について、次に掲げるものは、各区分ごとに1臓器として算定する。ア 気管支及び肺臓
(病理標本作製の通知より)
イ 食道
ウ 胃及び十二指腸
エ 小腸
オ 盲腸
カ 上行結腸、横行結腸及び下行結腸
キ S状結腸
ク 直腸
ケ 子宮体部及び子宮頸部
基本的にはこの通知に従い臓器数を数えているものと思われます。しかし、この数え方に沿っていれば無条件に3臓器まで算定が許されるというわけではありませんので気をつけましょう。
実際に採取した検体臓器に対する何かしらの病名記載がなければ査定されてしまいます。意外にもこのパターンのレセが多いように感じますね。
具体的な査定例を挙げていきます。
大腸
「大腸」が病名部位として用いられる場合は全結腸を意味しますので、3臓器分の病名に相当します。なので、3臓器の算定をして、大腸病名が1つでも3臓器の算定は認められます。
ですが、この大腸病名がなく、もっと細かい特定部位(上行結腸、横行結腸、S状結腸…など)を含んだ病名表記で請求を行う場合には3臓器分の病名がひとつずつ必要となります。もし、臓器数分の病名がない場合、その分は査定となってしまいます。
婦人科領域
特に、卵管や卵巣については病名漏れが多くなりがちです。子宮検体とともに提出し、子宮病名のみであることが多いです。病理算定をする場合には、子宮附属器についても病名が必要となります。
卵管や卵巣はそれぞれに対して病名があれば1臓器として認められます。
リンパ
リンパ節については、所属リンパ節ごとに1臓器として数えるが、複数の所属リンパ節が1臓器について存在する場合は、当該複数の所属リンパ節を1臓器として数える。 (病理標本作製の通則より)
胃の病理を既に1臓器算定している患者に、同日に同じ胃部分のリンパ病理を行った場合ですが…併せてもう1臓器分算定可能です。
対称器官に係る病理標本作製
対称器官に係る病理標本作製料の各区分の所定点数は、両側の器官の病理標本作製料に係る点数とする。 (病理診断の通則より)
腎臓、肺、乳房、卵管・卵巣などの標本作製をする際にこのような算定が有り得るかと思われます。左右対称の組織採取を行った場合、1臓器としての請求となります。左右で2臓器として算定を行っていると、1臓器が査定となります。
では、同月内に異日で左右の標本作製された場合はどうなるのでしょう。病名や診療内容より見て必要性が判断できる場合は日を異にしていれば算定が認められるような傾向があります。ただし、ここは各審査自治体によって解釈が異なる部分ですので少数ですが査定となる場合もあるようです。
あまり、同月レセにおいて左右臓器の算定をすることはお勧めできません。
手術前後での病理標本作製
同じ臓器に対して、手術前後で同月に病理標本作製をする場合の算定はどうでしょうか。
術前検査のために行った病理標本作製と手術で摘出した検体を病理標本作製した場合というパターンが多いかと思われますが、これはそれぞれ算定可能です。また、術中迅速病理と病理標本作製は併算定可能ですので、それぞれ実施したのであれば各々算定できます。術中迅速病理は病名によっては必要性が認められないことがあるので、適応のある病名の入力をお願いします。
その他の臓器の数え方例
- 甲状腺と副甲状腺は、それぞれで1臓器の算定が可能です。
- 腎臓と尿管と膀胱は、それぞれで1臓器の算定が可能です。
- 上咽頭と中咽頭と下咽頭は、咽頭として1臓器のみの算定です。
- 咽頭と喉頭は、それぞれで1臓器の算定が可能です。
- 髄内と骨と髄外は、骨として1臓器のみの算定です。
- 骨髄と血餅は1臓器のみの算定です。
疑義解釈として正式に通知が出ている
内視鏡下生検法の臓器の数え方
1臓器の取扱いは「N000」病理標本作製(T-M)に準じます。ただし、内視鏡下生検法に関しては病理標本作製のように3臓器限度という取扱いがありませんので4臓器や5臓器の算定でも可能です。
なので内視鏡下生検法とT-Mの臓器数は必ずしも一致するわけではありません。
さいごに
今回は実例を交えながらレセ作成時に気をつけたい部分を列挙してみました。査定が多い部分なので、重点的に点検を行うと査定を減らせると思います。