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保存血液輸血のレセプト算定方法 (1回目と2回目の算定はどう判断?)
こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。
以前に一度、保存血液輸血の査定傾向(血液製剤)をまとめたことがありますが、今回は輸血の算定方法について解説したいと思います。
とりあえず今日は初心にかえって保存血輸血の算定について、モヤモヤしている部分を解消しちゃいましょう。
まずは輸血の基本をおさらいです。
- 自家採血輸血、保存血液輸血、自己血輸血及び希釈式自己血輸血の算定に当たっては、200mLを単位とし、200mL又はその端数を増すごとに所定点数を算定する。ただし、6歳未満の患者に対して自己血輸血を行った場合は、体重1㎏につき4mLを単位とし、当該単位又はその端数を増すごとに所定点数を算定する。
- 自家採血輸血及び保存血液輸血における1回目とは、一連の輸血における最初の200mLの輸血をいい、2回目とはそれ以外の輸血をいう。
輸血の通知より
保存血液輸血のレセプト算定方法
保存血輸血は、通知の通り、最初の200mLは1回目の点数である450点を算定し、それ以外のものは全部2回目の350点で算定します。
多分こうだよな?ってのが頭に思い浮かんでると思います。文章のままなんだろうけど、その解釈で算定していいのか何だか確信が持てないのではないでしょうか。
では実際、保存血液輸血の算定はレセプトで請求する際にどのように記載すればいいのでしょうか。
- 最初の200mLは1回目の点数
- 輸血は1日分の総量で計算を行う
- 200mLごとに点数を加算する
ちなみに、1回目の輸血が200mLを超えた際はどうなるのかという疑問ですが、200mLを超えたものももちろん請求可能です。
では、これらの条件を踏まえた上で、具体的な例題を見て理解していきましょう。
(例題1)初回輸血患者
今回初めて保存血液輸血280mLをする場合。280mLの保存血液輸血の手技料は?
はい、早速ですが、1回目の輸血量が200mLを超える事例。
280mLという輸血量は赤血球製剤2単位を想定した輸血量ですね。実務では絶対に有り得るパターンです。(血液製剤の算定量が気になる人はレセプトで保存血液輸血の算定が査定される理由(血液製剤関連)を参考にしてください。)
(解答1)
保存血液輸血(1回目)200mL 450×1
保存血液輸血(2回目)80mL 350×1
(解答2)
保存血液輸血(1回目)280mL 800×1
どちらの記載が正しいと思いますか?
おいっ、さっき合算しろって言っただろというツッコミが聞こえてきそうですが、耳を塞ぎます(笑)1回目の点数だけは例外だと思っていてください。それ以外は通常合算です!
レセコンの都合上、1回目の点数と2回目の点数を分けて算定しないと正しい点数が反映されないというものも中にはあるようで(恐らく?)、医療機関によって請求方法が異なると思います。システム上の理由だということであれば仕方ないですよね。
1回目280mLで算定すると、450×2と反応してしまい900点という表示をされてしまうみたい。
今回の例題であれば、1日量の算定合計が450点+350点=800点になってるなら、どちらの記載でも可能と解されます。
(例題2)既に前日輸血がある患者
保存血液輸血を前日に280mLしている患者に本日さらに400mLの輸血を行なったと仮定した場合。本日の保存血液輸血400mLの手技料は?
400mLという輸血量は血小板20単位を想定した輸血量ですね。実務では絶対にあり得るパターンです。
(前日)保存血液輸血(1回目)280mL 800×1
(解答)
保存血液輸血(2回目)400mL 700×1
200mL(350点)+200mL(350点)=700点
初回200mL以外は1日量を合算した手技料になります。今回は、既に前日で1回目の200mLを算定済みなので2回目の点数のみでの算定となります。
さてさて、さっきみたいに200mLで区切って
保存血液輸血(2回目)200mL 350×1
保存血液輸血(2回目)200mL 350×1
350×2という算定の仕方ではダメなのかということですが、これは通常認められていません。
200mLで区切ると確かに計算しやすいんですが、合算が基本です。
ただ、この例題の場合は点数に変動が出ないため、2回に分けたとしても返戻や査定はされないと思います。血液製剤の量に照らして、400mLということで間違いないのであれば点数請求上は問題ないため、敢えてスルーされる可能性が高いです。
膨大なレセプトを処理する上で修正後0点となるものは査定返戻されない傾向があります。(0点で変動ない形の項目振り替えは、ごく稀ですね。)
(例題3)同日2回に分けて輸血した患者
同日に280mLの輸血を2回行った場合。総量560mLの保存血液輸血の手技料は?
(解答1)同日2回に分けて算定
280mL=(350+350)=700×1
280mL=(350+350)=700×1
560mL合計(700+700)=1400点
(解答2)1日の輸血の総量を算定
560mL =(350+350+350)=1050×1
560mL 合計 1050点
正解は(解答2)です。
このように同じ560mLの点数であるにもかかわらず、算定を分けると点数に誤差が出てしまうパターンがあるんです。
この場合、1400点−1050点=350点は過剰に請求してしまっていることになるため、この誤差分が減点査定となるわけです。
輸血は1日の中で何回かに分けてやったとしても合算します。これは、保存血液輸血に限らず、他の輸血にも共通して言えることです。
保存血液輸血1回目の算定目安は1週間
説明は、当該患者に対する一連の輸血につき1回行うものとする。なお、この場合、「一連」とは、概ね1週間とする。ただし、再生不良性貧血、白血病等の患者の治療において、輸血の反復の必要性が明らかである場合はこの限りでない。
患者への説明を規定した通知ではありますが、算定においてもこの概ね1週間を1回目と2回目の判断目安にしています。
概ね1週間が適用されないパターン
概ね1週間が適用されない例外もあります。さきほどの通知にも書かれていましたが、輸血の反復性がみられるものに関しては一連の解釈が異なるので気をつけましょう。
例外と考えられる疾患例
白血病、悪性腫瘍、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血、造血器疾患など
疾患や症状によっては、繰り返し輸血を行う場合や継続的な輸血が必要なものは、概ね1週間のルールには当てはまらず、継続的に2回目の算定をすることになります(再入院においても2回目として算定を行わなければならない場合があります)。
たとえ上記疾患のように輸血実施の反復性が考えられる場合であったとしても、客観的に見て継続性がない輸血と判断できれば各々で1回目の算定をすることは可能です。
どういうことかというと、1回目輸血を実施し症状が一旦治癒に近い状態になり、おそらく今後輸血はしないだろうという判断になった患者がいたとします。
そのあと、ひと月以上間隔があいて急性増悪があり予定にはなかった緊急の輸血をすることになった場合。これは新たに1回目として算定してもかまわない症例と判断できます。
審査も一定ではなく見解がバラバラなので一概には言えませんが、考え方の一つとして「予定実施のものか緊急実施のものなのか」という基準で見てみるのも良いかもしれません。
緊急実施であれば、新たに1回目の算定ができるものと解します。ただし、それなりに安定期に入ってる患者であることが条件になってくると思われます。
不安定期であれば、いくら緩解したという場合であっても症状が急転することは予想されたことですので…。せめて、入院料の考え方と同じようにひと月は来院間隔があいていないと難しいと思います。
さいごに
輸血は、入院・外来どちらも共通となりますので、確認漏れがないように気をつけてくださいね。入院で1回目として算定していたけど、実は外来で1回目を算定していた!なんてこともありえます。