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レセプトで精密眼底検査の算定が査定になる理由
こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。
今日は、医科点数表の検査についてお話しようと思います。
眼底検査とは
眼底(眼の奥)にある網膜・脈絡膜・視神経などの状態を瞳孔から覗いて観察する検査のことです。瞳孔を開く目薬を点眼し、眼底鏡や眼底カメラ等を用いて観察します。眼底にある血管は、肉眼で直接観察できる唯一の部分で、この血管の様子を観察することにより、動脈硬化や脳腫瘍、糖尿病、高血圧症など全身疾患についても知ることが出来ます。
精密眼底検査の算定が査定になる理由
眼底疾患
意外に多いのは、眼底疾患がないというものです。網膜剥離、網膜前膜、白内障、緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性、乳頭浮腫、視神経萎縮、視神経乳頭陥凹、網脈絡膜萎縮、静脈閉塞などの病名がない場合。
アレルギー性結膜炎や屈折異常病名(近視、遠視、乱視等)のみでこの検査を算定している場合は査定となる可能性が高いです。審査自治体により判断は異なりますが、初診時であれば患者の状態を把握する場合に眼底疾患の病名が無くとも精密眼底検査の算定はおおよそ認められています。ただし、スクリーニングの際に1回のみと考えておきましょう。
初診であれば何らかの持病がないか疑って検査してみるのは仕方がないことですが、再診時での施行においては、新たな眼底疾患が無い限り、過剰な検査と判断され査定となります。
汎網膜硝子体検査
D255-2 汎網膜硝子体検査(片側)
注 患者1人につき月1回に限り算定する。ただし、汎網膜硝子体検査と併せて行った、区分番号D255に掲げる精密眼底検査(片側)、D257に掲げる細隙燈顕微鏡検査(前眼部及び後眼部)又はD273に掲げる細隙燈顕微鏡検査(前眼部)に係る費用は所定点数に含まれるものとする。
汎網膜硝子体検査という検査を同日に行っている場合、この検査の所定点数に含まれるものとなってしまいますので精密眼底検査は査定対象となります。
検査通則5 対称器官に係る検査の各区分の所定点数は、特に規定する場合を除き、両側の器官の検査料に係る点数とする。
注意しておきたいのは、汎網膜硝子体検査も精密眼底検査も(片側)設定であるということ。眼の検査には多いんですよね、この設定。しかし、すべてが(片側)設定となっているわけではないので、その部分はしっかり把握しておきましょう。(片側)と書いていないものは、(両側)の検査です。
片側
右眼 汎網膜硝子体検査(片側)1回
左眼 精密眼底検査(片側)1回
もしこのように同日にそれぞれ異なる検査を行ったということであれば併算定可能です。ただし、その場合、両眼に対して病名があること前提ですよ。片側の病名しかない場合は健側との比較になりますので、患側の所定点数に含まれる一連の検査と判断されてしまいます。
右眼 汎網膜硝子体検査(片側)1回
左眼 精密眼底検査(両側)1回
汎網膜硝子体検査は(片側)に対して、精密眼底検査(片側)2回の算定を行っている場合、精密眼底検査(片側)1回分は査定対象となります。
両側
点数表には(片側)の項目しかありませんが、レセプトの診療行為コードとしては(両側)という区分があります。これは単に(片側)2回分の点数を(両側)1回として設定されている点数なので、レセプト請求時はどちらを使っても大丈夫です。
右眼 汎網膜硝子体検査(両側)1回
左眼 精密眼底検査(片側)1回
この場合、汎網膜硝子体検査は(両側)の算定をしていますので、同日において算定された左眼の精密眼底検査は査定対象となります。
コンタクトレンズ検査料
D282-3 コンタクトレンズ検査料
通知(1) コンタクトレンズの装用を目的に受診した患者(既装用者の場合を含む。以下同じ。)に対して眼科学的検査を行った場合は、コンタクトレンズ検査料「1」、「2」、「3」又は「4」により算定する。
コンタクトレンズ装用のための検査であれば、精密眼底検査はコンタクトレンズ検査料の所定点数に含まれ算定できなくなります。また、過去にコンタクトレンズ検査料を算定している患者には気をつけて算定を行ってください。装用中止となっていない場合は継続とみなされ、他の眼科学的検査ともどもコンタクトレンズ検査料に振り替えとなってしまいます。(減点となる場合は振り替えになりますが増点となる場合はそのままスルーされます)
縦覧で審査されていますので、眼科学的検査を多項目算定される場合は過去をしっかりと確認し、コンタクト装用中止としているのであれば摘要記載を入れましょう。
同日2回
同日の精密眼底検査(片側)2回は算定可能ですが、精密眼底検査(両側)2回は算定できません。当たり前なのですが、意外に間違ってしまうようです。
連月や短期間
眼底疾患確定病名がある場合や手術前後に関しては、検査回数も多くなるのも致し方ないですが、疑い病名のままで精密眼底検査を短期間に2回も3回も行っていると、過剰検査として1回分に査定されます。疑いで連月の精密眼底検査を行っている場合も同様に1回分の算定に査定されるケースが多いです。
術があった場合でも、精密眼底検査は3回、4回まででしょうか。それ以上になってくると、査定になる可能性が高いです。どうしても必要だったのだという場合は摘要記載をしておくほうがいいかもしれません。
神経学的検査
D239-3 神経学的検査
通知(3) 神経学的検査と一連のものとして実施された検査(眼振を検査した場合の区分番号「D250」平衡機能検査、眼底を検査した場合の区分番号「D255」精密眼底検査等を指す。)については、所定点数に含まれ、別に算定できない。
通知に書いてある通りですが、神経学的検査の一環として行われた精密眼底検査は神経学的検査の所定点数に含まれますので、査定対象となってしまいます。同日の算定には気をつけましょう。
さいごに
一番査定が多いのは、眼底疾患がないという部分です。この検査があるときは、眼底疾患の有無をしっかり確認しましょう。