レセプトで結核菌特異的インターフェロン-γ産生能の算定が査定される理由

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こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。

こあざらし
今日は結核菌特異的インターフェロン-γ産生能の算定についてまとめていきたいと思います。
目次

結核菌特異的インターフェロン-γ産生能とは?

結核患者との接触があった接触者感染の健診に多く使われる検査です。

検査の仕組みをまずイメージしましょう。

結核菌に特異的な反応を示す抗原を用いてタンパク質を刺激し、免疫反応を見ます。もし結核菌に対する免疫が存在すれば、この刺激により免疫反応の過程でT細胞からインターフェロン-γという物質が産生されます。このインターフェロン-γ量やこれを分泌しているT細胞数を測定。この量を調べることによって、結核菌との接触歴有無を調べたり、治療の補助診断に用いることができます。

結核特異的インターフェロン-γ産生能の算定が査定される理由

胸部X-Pなし

D015「28」の結核菌特異的インターフェロン-γ産生能は、診察又は画像診断等により結核感染が強く疑われる患者を対象として測定した場合のみ算定できる。

関節リウマチなどがある患者の場合、生物学的製剤使用前のスクリーニングガイドラインがあるようですが、そこにおいて胸部X-P撮影必須というような内容があり、そういったところから胸部X-Pがない患者に対する算定は不適当とされ、査定となるケースがあります。

通知には「診察又は…」となっているため算定可能と考えますが、中には、このように考える審査医師もいるのです。

結局のところどうなのかというところですが、結核の病名が疑いであればレントゲン撮影がなくても通知には合致しているものと考えますので、再度、復活再請求を願い出てもいいかもしれません。

昔は査定となっていたことも多いものだったようですが、最近では、画像診断がなくても認められているケースがほとんどです。

こあざらし
半年以内に結核感染患者と接触した可能性が高い人や他検査の結果より結核感染が疑われるのであれば、そういった根拠や経緯を詳記して再請求してみてもいいかも。

定期的に検査

結核の疑い患者に対して定期的に検査を行っている傾向があると査定対象になることがあります。

連月から4月間隔くらいと期間はさまざまです。審査医師の裁量になりますが…。

どんな症例が査定されやすいか。

病名が結核の疑いだけで他疾患が見られないレセプトにおいては査定されやすいようです。

数値によっては判定保留となる場合がありますので、その場合は再度 疑い病名で検査を行っても請求は認められます。ただし、レセプトには判定保留となっている旨を記載しておく方が良いと思います。あと、陽転するのが2~3か月後と考えられるため、連月で検査を行ってる場合は間隔から判断してやはり査定対象とする審査もあるようです。

こあざらし
患者個人で経緯が異なるかと思われますので、妥当性がある再検査であれば理由を記載して再度請求を行ってみても良いと思います。

定期的でも比較的認められている場合

レセプトを見た際の患者の免疫力低下状態に注目してみてください。

免疫抑制状態の患者や化学療法中の患者は免疫力が低下しやすく、易感染状態となってしまいます。そういった患者は、陰性となった場合でもその後の経過を見守る必要があり、定期的な感染チェックが必要なのです。この場合においては、比較的保険算定は認められているように見受けます。

また、生物学的製剤の投薬前スクリーニングにおいてはガイドラインより使用前半年は必要とされているものですので認められています。もし査定となっているようであれば生物学的製剤投薬前スクリーニングだということをアピールして再請求を申し込むのも良いかもしれません。

確定病名

生物学的注射副作用チェック投与前半年、免疫抑制剤やステロイド使用中などの場合を除いて、確定病名で行っている場合は査定対象となっているようです。

審査自治体によって判断が異なりますが、確定病名でも投薬中の診断補助管理に用いてる場合などおおよそ認められてる印象。いつ審査の方向性が変わるか分からないですけど…。

でも、恐らく確定病名での算定は特殊事例を除き、今後査定の方向に動いていくのではないかと個人的には思ってます。

保険請求できる検査とは、結核菌に特異的な反応を示すインターフェロン-γの有無を調べるために特異抗原を用いるものです。単なる血中のインターフェロン-γ量の測定を行っているだけでしたら、それは保険請求ではまだ認められていない用法です。

MAC核酸検出算定後

「10」のマイコバクテリウム・アビウム及びイントラセルラー(MAC)核酸検出は、他の検査により結核菌が陰性であることが確認された場合のみに算定できる。

通知にもある通り、他検査にて結核菌の陰性が確認された患者に対する検査です。

よって、この検査が行われた後にするというのは矛盾が生じてますね。

結核菌特異的インターフェロン-γ産生能は結核感染が強く疑われる患者が対象であるため査定となってしまいます。

こあざらし
もしもMAC核酸検出算定後にこの検査を行う場合はMAC核酸検出の結果を記載しておいた方が良いです。

同月2回

同月に2回検査を行っていた場合は、2回目の算定が査定になる傾向があります。算定回数に規定のない点数項目ではありますが、短期間で頻回に行う検査ではないと考えられているのではないでしょうか。

さいごに

今日は、またも結核菌関連検査の続きを書き綴ってみました。だいぶ出そろいましたね。一定の見解ではないので難しい部分ですが、審査の着眼点を知ることで反論を考えることが出来ると思いますので何かの参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人

医療事務(診療所・病院)、レセプト審査(保険者)、医科歯科事務経験、介護事務経験あり。ブログは、査定事例の解釈・レセプト実務に必要な知識を重点的に更新♪

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