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在宅自己注射指導管理料のレセプト算定方法 Vol.3(回数の数え方・処方量編)
こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。
在宅自己注射指導管理料の数え方Vol.2(算定日編)に引き続き、今回は処方量に注目した数え方についてまとめたいと思います。
在宅自己注射指導管理料(回数の数え方・処方量編)
単位数で変わる回数
在宅処方の量が変わると、実は算定出来る在宅自己注射の回数が変わってくるんです。
どういうことかを説明するので、まずは純粋に指示単位数のみを示した問題で理解を深めてみましょう。
例えば、ノボラピッド 300単位 1キット の処方があるとします。
①(朝5単位、昼5単位、夕5単位)で自己注射指示のパターン。
①の薬剤での場合、1日の単位は5+5+5=15単位となります。そして、300単位÷15単位=20日分と計算できますので、この患者の処方日数は20日分です。
これを回数に直すと朝昼夕の3回×20日分=60回分の処方ということが分かります。
②(朝20単位、昼15単位、夕15単位)で自己注射指示のパターン。
②の薬剤での場合、1日の単位は20+15+15=50単位となります。そして、300単位÷50単位=6日分と計算できますので、この患者の処方日数は6日分です。
これを回数に直すと朝昼夕の3回×6日分=18回分の処方ということが分かります。
①のように朝昼夕の単位数が同じであれば300単位÷5単位=60回分と算出出来ますが、②のように朝昼夕の単位数が異なる場合は平均値を出すか1日の総量から回数変換するかで算出出来ます。
割り切れない数字が単位数の時点で出てしまうと最終的な誤差が広がってしまうため、面倒ではありますが、一度1日量を出してから日数を割り出し、最後に回数に変換し直す方が誤差が少なくて済みます。
①と②のそれぞれ回数が出ましたね。
さて、2パターンでの回数が分かったので、これを在宅自己注射指導管理料の算定に当てはめて考えてみましょう。
①の場合、60回分の処方が出ているので、28回以上での算定条件を満たします。
②の場合、18回分の処方しか手渡されていないため、たとえ月初の算定であろうと27回以下でしか算定出来ません。
いくら28回以上での指示を出していても患者の手元に薬剤がなければ指導料の回数には反映出来ないのです。
空打ちを含めた処方量
先ほどは純粋に指示単位だけで計算をしました。
ですが実際にはインスリン注射前に空打ちというものが必要となってきます。
気泡を除去する意味もありますし、インスリン注射液が針からちゃんと出るのを確認する意味もあります。
先ほどと同じように、ノボラピッド 300単位 1キット の処方で確認してみましょう。
①(朝5単位、昼5単位、夕5単位)で自己注射指示のパターン。
①の薬剤での場合、1日の単位は5+5+5=15単位となります。1回につき2単位は空打ちなので、朝昼夕の2+2+2=6単位も追加しましょう。
1日の総量は21単位となりました。
そして、300単位÷21単位=14.2…日分と計算できますので、この患者の処方日数は約14日分です。
これを回数に直すと朝昼夕の3回×約14日分=約42回分の処方が可能ということが分かります。
②(朝20単位、昼15単位、夕15単位)で自己注射指示のパターン。
②の薬剤での場合、1日の単位は20+15+15=50単位となります。1回につき2単位は空打ちなので、朝昼夕の2+2+2=6単位も追加しましょう。
1日の総量は56単位となりました。
そして、300単位÷56単位=5.3…日分と計算できますので、この患者の処方日数は約5日分です。
これを回数に直すと朝昼夕の3回×約5日分=約15回分の処方が可能ということが分かります。
①と②のそれぞれ回数が出ましたね。
2パターンでの回数が分かったので、これを在宅自己注射指導管理料の算定に当てはめて考えてみましょう。
①の場合、42回分の処方が出ているので、28回以上での算定条件を満たします。
②の場合、15回分の処方しか手渡されていないため、たとえ月初の算定であろうと27回以下でしか算定出来ません。
空打ちが単位数として加わることにより、多少回数に変動が出ましたね。
審査では空打ち分まで考慮した単位数を認めてもらえています。
残薬のみで算定は可能か?
基本的に、患者に在宅処方を渡している場合に指導料の算定ができます。
在宅処方をしなかった月であっても算定は可能なんです。
ただし、残薬がある人が対象。
回数に関しても残薬に応じた回数となります。
当月の回数を満たす残薬があるかは確認するようにしましょう。
『残薬あり』と記載して、指導管理料の算定が出来ます。
しかしながら、あまりにも残薬の月ばかりが連続すると、審査機関から疑問視されてしまいます。
添付文書にも保存期間が記されており、その観点から考えて長期残薬はあまり好ましくありません。適正さを欠くと判断されてしまいます。
実務では仕方ないこととはいえ、保険請求においては認められない場合もあるということを把握しておきましょう。
さいごに
いかがでしたでしょうか?過去を含め3回に渡り、在宅自己注射の数え方について記事でまとめてみました。
一応、数え方については今回で完結となります。