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レセプトで注入器加算の算定が査定される理由
こんにちは、こあざらし(@ko_azarashi)です。
今回は在宅医療の材料である注入器加算の査定事例について記事をまとめます。
レセプトの算定で注入器加算が査定される理由
そもそも注入器とはどのような定義なのかを確認してみましょう。
「注入器」とは、自己注射適応患者(性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤の自己注射を除く。)に対するディスポーザブル注射器(注射針一体型に限る。)、自動注入ポンプ、携帯用注入器又は針無圧力注射器のことをいい、加算の算定はこれらを処方した月に限って可能であり、単に注入器の使用を行っているのみでは算定できない。注入器加算は、針付一体型の製剤を処方した場合には算定できない。
注入器加算の通知
このように示されています。
これしか書いていませんが、なんだかこれだと非常に分かりにくいですよね。
ディスポーザブル注射器?万年筆型注射器?いちいちどれを使ってるかなんて調べるのめんどくさい…なので、簡単に見極める方法です。
- 瓶(バイアル)…注入器加算算定可能
- 筒(シリンジ)…注入器加算算定可能(性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤の自己注射を除く。)
- 単位・キット…注入器加算算定不可
イミグランキット皮下注は販売名にキットがついてるだけで、実際には筒なので算定可能です。
瓶や筒の薬剤は注入用の専用容器に移し替えるかセットして薬液を注入しますが、その注入器を繰り返し使います。針と薬剤だけ新しいものを使い、複数回使用するものです。
キット製剤は注入器や針、製剤がセットになっており、ダイヤル式で必要単位数を注入し、1キット使い切ったら注入容器ごと廃棄します。
キット製剤のみ処方
キット製剤は薬価の中に注入器費用が含まれています。
トレシーバ、ノボラピッド、ランタスなどの薬剤はキット製剤です。
性腺刺激ホルモン剤
ゴナールエフ皮下注ペンなどは筒ですが、通知より、性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤を除くと規定されていますので注入器加算は算定不可となります。
よって、この薬剤に対しての算定だと査定対象です。
別に厚生労働大臣が定める注射薬
別に厚生労働大臣が定める注射薬の自己注射を行っている入院中の患者以外の患者に対して、注入器を処方した場合に、第1款の所定点数に加算する。
注入器加算の注
ここでいう別に厚生労働大臣が定める注射薬とはpH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)製剤以外のものです。
ハイゼントラ皮下注以外のものが注入器加算の対象薬となります。
そのためハイゼントラ皮下注に対しての注入器加算は算定出来ません。
ハイゼントラ皮下注は、C161注入ポンプ加算に規定する注射薬です。
連月
連月の算定は過剰と判断され、査定になる傾向です。
算定ルールに何も書いてないのになぜ査定されるのかという事例に関しては、これに当てはまるものが多いと思います。
注入器にはそれぞれ耐用年数というものがあり、2、3年もつというものが多いです。
なので、連月で支給するというのは、耐用年数からみるとまだ繰り返し使えるはずの期間であり、再度支給というのは過剰性を感じてしまうのです。
それぞれの薬剤に専用の注入器がありますのでそれぞれ耐用年数を調べて適正な頻度で請求しましょう。
同じ薬剤で何度も算定していませんか?
もしも前月とは異なる薬剤の支給があり、それに対する注入器を新たに提供したということであれば、これは算定可能です。
ただ、審査でもしかしたら薬剤の種類違いというのを見落とされる可能性もありますので、摘要記載などで新たな薬剤に対する注入器の支給って分かるように書いておくと査定を防げると思います。
残薬に対して不可(同時に処方なし)
「注入器」とは、自己注射適応患者(性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤の自己注射を除く。)に対するディスポーザブル注射器(注射針一体型に限る。)、自動注入ポンプ、携帯用注入器又は針無圧力注射器のことをいい、加算の算定はこれらを処方した月に限って可能であり、単に注入器の使用を行っているのみでは算定できない。注入器加算は、針付一体型の製剤を処方した場合には算定できない。
薬剤の処方がない月に算定をしている場合、査定対象となります。
薬剤と加算はセットで算定、これは覚えておきたいです。
間歇注入シリンジポンプ加算と併算定
間歇注入シリンジポンプを使用する際に必要な輸液回路、リザーバーその他療養上必要な医療材料の費用については、所定点数に含まれる。
間歇注入シリンジポンプ加算の通知
間歇注入シリンジポンプ加算を算定する患者においては、材料がこの点数に全て含まれていると考えられるため、注入器加算が査定される可能性があります。
ただし、それぞれ使用している薬剤が違うということが分かるレセプト(2種類以上の処方あり)では、併用の妥当性があるものであれば認められるものです。
さいごに
注入器加算の算定について、査定事例とともに算定解釈をまとめました。